「あきらめない街、石巻。その力に俺たちはなる」1。

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東日本大震災から1年。
 日本は復興の真っ最中です。
 被災された方々の中で苦しくて心の整理のつかない方、今も当時のことや亡くなられた方を忘れられず
 悲しみに暮れている方々がたくさんいます。
 人は誰でも答えのない悲しみを受け入れることは 苦しくて辛いことです。
 しかし日本がひとつになり、この苦難を乗り越えることができれば、
 その先に大きな幸せが待っていると信じています。
 だからこそ、日本中に届けます。
 感動、勇気、そして笑顔。
 見せましょう、日本の底力、絆を。
 われわれ高校球児にできること。
 それは全力で戦い抜き、最後まであきらめないことです。
 今、野球ができることに感謝し、全身全霊で正々堂々とプレーすることを誓います。」
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二年と三か月前の春センバツ甲子園において、宮城県石巻工業の阿部翔人主将は上の宣誓を行った。
自分はそれをテレビで見ていた。内容とともに、落ち着いた、それでいて凛とした声が印象的であり、
自然、涙が零れ落ちたものである。
そしてその翌日の試合。相手は実力校の鹿児島・神村学園であった。
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「あきらめない街、石巻 その力に俺たちはなる」
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力強い筆跡で大書されたその横断幕を掲げ、石巻工は果敢に強豪に立ち向かわんとした。
しかしそこは強豪である。序盤からじりじりと差を広げられ、敗色が立ち込める重苦しい展開となる。
しかし、石巻の選手は宣誓のとおり、横断幕のとおり、あきらめなかった。
中盤にきて二点を返し、なおも満塁。スタンドは既にお祭り騒ぎと化した。
その後、信じられないことがおこる。なんでもない遊ゴロにチャンスは潰えたかに見えたが…
野球の神様の悪戯。打球はイレギュラリーに跳ね、遊撃手が後逸。三人の走者が一挙生還!!!
まさかの逆転。その怒涛の攻撃に、観客には涙ぐむ人もいた。自分もテレビの前で、そうだった。
この「奇跡の攻撃」の代償として、石巻投手が死球を受け、その影響からかその後精彩を欠き、
五点取った後すぐさま五点取られたりし、最終の結果は残念な形とはなった。
しかし、「その力」は十二分に見せてもらった気がする。
それ以来、いつの日か、彼らを育んだ石巻という街を訪れたいと。
また、何ができるかも、できないかもわからないけれど、自分も何かの力になりたいと。
思い続けてきた。しかし、忙しい、休めない、今更行って何ができる、物見遊山では失礼、と
いろいろな理由をつけ、のびのびにしてしまっていた。
つい先日、それがようやく実現した。1泊1.5日の慌ただしい滞在ではあったが、ともかく。
できることは少なかったが、様々なことを思い、感じてきた。
その報告は、また後日に譲りたい。
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<本日の言葉>
やはり
「悲しみの先には 必ず大きな幸せが待っている」

あきらめない街、石巻 その力に俺たちはなる―石巻工高野球部の奇跡

あきらめない街、石巻 その力に俺たちはなる―石巻工高野球部の奇跡