にゃんこ先生。

身内に恥を晒し、恐縮ではあるが、先日ヨメと派手に喧嘩してしまった。
普段の小競り合いの域を超え、今回は根本的な感じまでいってしまった。
原因はいつもながら、私が「うだうだモード」に入ったことで、本当に
つまらないことである。ここで書くのも恥ずかしいので多くは語らない。
「夫婦喧嘩は犬も食わない」、と言うが。当然、猫も食わないらしい。
いつの間にか二匹ともすーっと我々から遠ざかり、姿が見えなくなった。
と、アントニオは冷蔵庫の上の隅っこ、我々の手の届かないところに籠り、
小さく小さくなっていた。我々の諍いに心を痛めたのだろうか。申し訳なくなり
夫婦二人で冷蔵庫の下から、ごめんよ、もう喧嘩しないから、と必死でなだめた。
するとである。アントニオは、すすっと前にでて来、私の頭の上で屹立した。
そして、あの全てを見通すような、
射抜くような目で、じいっと語りかけるように、私を見たのである。

(写真はイメージです)
「果てしなき愚か者ムーランよ、悔い改めるがよい」。
そう語られている確信ができた。その目にやられ、本当に恥ずかしいが、
自分の目には涙があふれていた。ごめんなさい、本当にごめんなさい。
ただ、謝り続けた。途方もなく変な図だが、その時は大真面目であった。
夫婦喧嘩のことなどどうでもよくなった。いや、どうでもいいと気づかされた。
純粋で気高い「にゃんこ先生」に比し、なんと自分らのせせこましいことか。
学びを得た我々は、その崇高さに見習い、今日を大事に生きることを誓った。
めでたしめでたし、と言いたいところだが、めでたくない一点がある。
その一部始終を当然ヨメには見られてたわけで、ヨメはことあるごとに
アントニオのことを「にゃんこ先生」、「アンニュン先生」、「先生」と呼ぶ。
おそらく一生言われ続けることだろう。それは甘んじて受けねばならない。
まあ自分が悪かったのだから仕方ない。やれやれ。

こちらは「おもしろ隊長」。
(写真と本文は関係ありません)