デビュー戦・第3回大阪長居国際マラソン。


というわけで、行って参りました。初めての大会は右も左もわからず、
戸惑うことばかりだったが、いい経験となった。何より、気持ちよかった。
長居陸上競技場の正面エントランスから堂々と入場。このへんからし
普段とは違う高揚感。数々の陸上選手やサッカー選手が使ったであろう、
ロッカーやロビーを使える幸福。スポーツ観戦オタクとしては涙もの。
その後受付では、ゼッケンはじめ謎のシールや道具をいっぱい渡される。
なんじゃこれは??? 頭の中が?マークで一杯になることしきり。
スタッフをつかまえて、明日キングもといアスキング・マンと化す。
聞かぬは一生の恥である。ほうこれは周回数をチェックするためのシール。
ほうこれはゼッケンをつける安全ピン。ほうこれは参加賞の腕ライト。ほほう。
着替え、不器用な手で苦労してゼッケンをつけ、サングラスにドリンクホルダー。
完全装備で意気揚々トラックサイドに出るが、見たところ、ドリンクホルダーなどを
装着している人はいない。サングラスをかけている人も数えるほどだ。不安が募る。
またスタッフにアスキングするこのオッサン。すみません、こんなんつけていいすか?
スタッフはにこやかに(苦笑?)、皆さん、自分のなさりたいようになさってますので
どうぞなさりたいように…と。まそらそうか。ちなみにこの大会は前書いたように、
浄水だか浄水器だかのメーカー主催の大会なので、給水はその水が振る舞われる。
10kmではそれだけで十分で、自分の水を運べばかえって重くなり走りにくくなる。
それが普通の考えなのだろうが、自分は今回をハーフの練習と位置付けているので、
負荷だと思ってつけ続けることにした(ただし、それは飲まないでおこう、とも)。
最終カーボローディングとして携帯食をパクついたり(そんなことしてたの自分だけ)、
アップにいそしんだり、中に無料マッサージコーナーがあったのでそこで足の裏に
テーピングをしてもらったりしながら、スタート時間までを緊張を抑えつつ過ごした。
ついに召集がかかり、スタート地点に並ぶ。自分は申し込みが遅かったのと、タイムを
控え目に申告したので、かなり後ろの方であった。テンションが上がってゆく。
その上がったテンションの中、「準備体操」と称してエアロビクスをやらされた。
競技場は広いので、インストラクターがよく見えないし、音声も拡散しよくわからない。
よくわからないうちに、各自手足をバラバラに動かすだけの、違和感ある時間となった。
なんだかしんなりした後に、あれあれっという間に号砲。感慨に浸る間もなし。
スタート直後と、マラソンゲートでの渋滞に閉口しつつ、長居公園周回コースに出る。
テレビで見ていたマラソンの印象は、道はランナーのためだけにあり、それを沿道の
人垣は少し離れて、しかも熱く声援を送りながら見守る、というものであったが…
今回の経験はそれとは少し違った。長居公園内は「普通の日曜日の公園」であった。
犬の散歩をしている人や、乳母車を引いたお母さんとか、立ち話しているオバハンや、
ちゃりんこ(=自転車)をガニ股でこぐオッサンとかが幾度となく、前方に現れる。
それらはさすがに、よけねばならないほどではなかったので、まだよかったが。
部活かなんかで集団でランニングしている少年たちや、いちびって並走してくる子供に
抜き去られるのにはげんなりした。さらに問題なのは、誰がレース参加者で
誰がそうでないのかが、後ろからわからないこと。背ゼッケンとか、あってもいいけど。
ただ、いかなる状況でも、自分のペースを守って走るという練習にはなる気がした。
上記の数々の障害より何より、自分の中にこんなにあるとは思わなかった闘争心が問題。
ようし近づいてやる、抜いてやる。あ、抜かれたくそう、負けるか抜き返してやる。
そう思うたび、あかんあかん、調子乗ったらあかん。ペース乱れる。どこか痛める。
と自分を抑えるのに苦労した。こういう心理戦対策は想定になかったので、ためになった。
それでも最後は、最後の力でスパートした。マラソンゲートをくぐり、場内に入った時は、
あたかもカトリン・ドーレや浅利純子(古くてごめん)が場内に入ったところと心の中で
オーバーラップし、アドレナリンがドバドバ出た。で、少し前からデッド・ヒートを
繰り広げていたオジサンと場内でも抜きつ抜かれつした。それは非常に面白かった。
しかし最後の最後、まだ力が余っていたので「これは勝てる」と思った時である。
この人も、今まで頑張って走ってきて、「最後に抜かれた」という思い出を作って帰る
いうのは可哀想かな。あるいはスタンドで「パパ頑張れ〜」と声援送ってる家族とか
いるんやろうな。とか思ってしまって。自分はひとりで来ているわけやし。
瞬間、「左門豊作の打席に対す飛雄馬状態」に陥ってしまった(わからん例だ)。
結局思い切り「力尽きた感」たっぷりに演じ、その実、力を抜いてしまったのである。
この辺が自分という人間の甘さというか…
果たしてこれでよかったのか、いやあかんやろな、と反省しきりである。
その後は、同時開催の「マラソン教室」に参加。ほとんど座学であったが、新鮮な話が
多く、興味深く受講した。特に「胃から腸に降りる水の量は限られているので、
給水はがぶ飲みしても無駄」とか「人間は長距離を走るために機能が進化した」とか
そのへんの話は非常に面白かった。中には、胡散臭い健康商品のセールスっぽい企画も
あったが、それを補って余りあった。
予定が合えばまた来年も参加したいと思う。
また、繰り返しになるが、年末のハーフへのうまい橋渡しに、心身両面で
なってくれたことと思う。
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<今回の記録>
10km 46分51秒 80位(385人中)