『半沢直樹』。

やられたら、やり返す。倍返しだ…
大変遅ればせながら、観始めた。主人公の「東京進出」に機を合わせた形。
友人や同僚があまりにいい、いいというので、最初は悪い天邪鬼の癖が出、
食わず嫌いを決め込んでいたが、やはり観ずにあれこれ批判はいけない、と。
事前に放送された「大阪編」のダイジェスト&名場面集の助けを借り、
突貫工事のうえ、何食わぬ顔で「中途採用」の栄にあずかった次第である。
そんなで、あたかも最初から観てたかのように語るのも烏滸がましいのであるが。
それを承知の上で、それでも書いてしまうが。
いや。流行るの、わかる気がする。「東京編」の二回を観ただけだが、実際、面白い。
自身、大組織で働いた経験がないに等しいので、このドラマがどれほどリアリティを
持っているのかはわからない。想像にすぎんが、「ありそうでない、なさそうである」
そこんところのさじ加減が絶妙な気がする。デフォルメのさせかたが非常にうまい。
昨今、リアリティを目指し過ぎた、あるいはリアリティが欠け過ぎたドラマが多かった中、
そのバランス感は秀逸なのではないだろうか。
またその、人間の描き方の妙である。ことあるごとに愛だ正義だと主人公が格好をつける
ドラマに飽いていたところであるが。この主人公を突き動かすエネルギーは違うところにある。
いや基本は愛だ正義だなんだろうが、そこに憎悪と権力志向と、と種々の要素がからまって、
それが主人公の複雑な人間的魅力を高めている気がする。それでいて、その他のキャラは
「いいもん」「わるもん」がはっきりしていて非常にわかりやすい。それも幅広い視聴者を
獲得している要因なのではないだろうか。
そして何よりも、「演技」である。餅は餅屋、演技は俳優、であるやはり。主人公はもちろん、
横を固める豪華な脇役陣の充実が素晴らしい。アイドルドラマはもう、足元にも及ばんだろう。
その迫真性が冒頭の「ありそうでない、なさそうである」バランスの妙につながっていくんだろう。
久々に、いやはじめて「演劇」の楽しさをテレビドラマに見た気がする。
今日のところはこれぐらいにして、今後とも注視したいと思う。また書くこともあろう。
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<本日の言葉>
「及川さん、いつ裏切るんですか」



及川みっちーが最近ファンに投げかけられた言葉だという。これを頭に置きながら見ると、
何でもない場面も異様に緊張感を帯びてくるから不思議だ。