『世界にひとつのプレイブック(Silver Linings Playbook)』。

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贔屓にしていた近所の映画館は、存続の危機にあった。
総デジタル化の昨今、それに対応する予算がない、ということだった。
それが、地元の映画ファンの署名とカンパ(おっと、し忘れていた)、
そしてこういう地元の「ゆるさ」を容認してくれる市長のおかげで、
(それに不満を持っている人もいるのだろうが、自分は歓迎だ)
めでたくデジタル化と存続が決まった。これからまた、通いつめねば。
そして自分が観た、初デジタル作が、これだ。きれいになったー。
いやはや、泣かせてもらったよ。またかいな、と言うなかれ。
観る人を選ぶ映画とは思うが、自分的には、魂の映画、と言っていい。
「プレイブック」とは、アメフトの陣形やプレーの動きなどの俯瞰図を記した
戦術本のことである。「ちょっと待って、プレイバックパート2」とは違う(何)。
それが「世界にひとつ」とはどういうことか。ここは原題のSilver Liningsのが
わかりやすいと思う。Liningsとは、いわゆる「ライナー」のこと。銀の裏地だ。
関係ないが、高校の時、常に裏地を見せて歩いていたので、「裏地男」とあだ名が
つけられていた奴を思い出した。派生して「ウラジオストク」とかとも呼ばれてた。
・・・・ 何の話や。銀の裏地だ。
Every cloud has a siliver lining.(どんな雲にも、銀の裏地がついている)
どんなに暗雲が垂れ込めていても、その裏に絶対太陽がある、て諺。これが由来だ。
Silver Linings Playbook、自分の理解では、人間いろんなわけわからん動きをしたり
時にはぶつかり合ったり失敗したりだが、絶対、どこからか太陽は照らしてる、と。
そういう映画だと思う。ただ、ラストもラスト、ラストの際の際まで、そんなことは
まるで信じられない、ドタバタハチャメチャな映画でもある。短気な方は、ブチ切れて
途中で出て行ってしまうかもしれない。ただ、本当の人生も、そんなものかもしれない。
まとめると、ドタバタハチャメチャに、ハラハラドキドキ(別の意味で)の連続で、
そしてツンデレの要素もあり、最後には茫然のまま涙を流すという、そんな映画だ。
て、どこがまとまってるのだ(苦笑)。
ツンデレと言えば、アカデミーにも輝いた主演女優。この子のツンデレぶりが出色だ。
『ハンガーゲーム』から注目していたが、その演技だけでも見ものだ。と欲目で思う。
あと、大御所ロバート・デ・ニーロもいい味出してる。主役も勿論、脇役も実力派だ。
是非ご覧頂きたい、と言いたいところだが、先にも述べたが、あかん人はあかんと思う。
まそんなんもありかな、という寛容さと、絶対希望はある!という信念をもって、どうぞ。
以下、少々ネタバレ等を含むので、下がります。


















アメフト用語が使われていることからして、アメフトはこの映画の重要なカギだ。
ここぞというところでヘマをするヘタレチーム、フィラデルフィア・イーグルス
デ・ニーロ演じる父の、そのチームに対する偏愛、いや狂愛ぶりはすさまじく。
自分ら阪神ファンには、身につまされる。あと、父子の確執と愛情は胸を打つ。
ほんま、父子ネタは、じぶんのツボに入ってしまって、苦しいほど感動する。
前半のドタバタというが、自分的にはほんまリアリティなシーンもあったりで、
「洒落になんないよー(槇原風)」と自分でツッコミながら観てたりもした。
(多くは書けへんけど) その分、感動に拍車がかかったのかもしれない。
あと、ラストの、10点満点で5点で、歓喜の叫び声を上げる面々。あれは素敵だった。
そうやんな、歓喜の基準は自分が決めるもの。幸福は自分が決めるもの、であるよ。
最後に、Every cloud has a silver lining. この言葉に接したのは人生で二度目だ。
人生で一番お世話になっている方、と言っても過言ではない方が、苦境にある自分に、
この言葉を記した手紙を昔くださったのだ。それを今回、まざまざと思い出した。
て、忘れてたんかい、というツッコミがありそうなので、この辺で失礼する。
ちなみにヨメではない。いろんな意味で、もっと「大物」である。なんだそら。
おお、ヨメと言えば、今日はヨメの誕生日なのだ。
ここでの語らいを、誕生プレゼントとして捧げよう。
もっと、物質的なもんがええかー(笑)



<本日のおまけ>
なんと本作はのプロデューサーの中には、『アメリカン・ビューティー』と同じ人が。
どうりで、自分の好みに合ったわけだ。