恥ずかしながら、グアム旅行記2。

元旦は「赤いシャトルバス」に乗ってHトンホテル前で降り、「イパオビーチ」へ。
Hトンで思い出したのだが、ついでながら。自分らはかなり無理してSトンに泊まっていた。
言うても最安の部屋で、壁が薄いのか、隣のオッサンの声が聞こえて微妙なほどだった。
つか声大き杉で会話が全部聞こえたよ。まそれはいいとして。そのSトンのエレベーターで
親子連れと乗り合わせた。そこで漏れ聞いた会話である。かなり品のよさそうなお父さんが、
「○○くん、Sトンはどう?ジイジイ(GG?)は次はHトンの方がいいかなって言ってたけど」
そして、小学校に上がるか上がらないかというガキが、もといお子様が、こう答えた。
「えー、あそこは微妙だなあ。僕はもういいや。こっちの方が僕の好みにあっているよ」
と、お父さんがいなかったら、そこに直れ!とばかり小一時間問い詰めたくなる言葉を吐いた。
なんか、格差社会の萌芽をそこに見た気がして、すごくしんなりしたことであるよ。
もとえ、気を取り直して。イパオビーチである。噂通りの素晴らしさであった。

プライベートビーチも多いグアムだが、ここはパブリック。観光客より地元民が多い印象だ。
浜にはバーベキューの窯がたくさんあり、皆がめいめい持ち寄った食材を囲んで宴を始めていた。
聞くところによると、グアムの新年と言えば、「家族でバーベキュー」が標準なんだそうである。
手を取り合ってダンスに興じる人々もいたりして。そいう地元の雰囲気を楽しめたのはよかった。
海の中がまたすごい! 浜から程ないところに、さんごが群生しており、色とりどりの魚が舞う。
浦島太郎のめでた光景もかくや、と思うばかり。市販のシュノーケルで十分ダイビング気分だ。
近眼の自分は、前のパラオをはじめ、毎回水の中の光景がぼんやりしか見れず悔しかったものだ。
かといって「度つき水中メガネ」はべらぼうに高い。しかし世の中便利なものがあったもんで。
格段に安い「補正レンズ」というものを知り、今回はその秘密兵器の助けでくっきりの感動だった。
見た目が「勉三さん」という感じになるのが玉にきずだが、それを補ってあまりある快適さだった。
そしてもう一つの秘密兵器が「防水バッグ」であった。二人で海水浴に行くと、特に海外では、
ひとりが泳ぎ、ひとりが貴重品の番をしないといけないというのがもどかしかったのであるが。
「これつけて、海に持ってったら、二人で泳げるよ!」 その考えは最高であった。
・・・ように思えた。
その考え通りに、身に着けて海底の風景に没頭していると、バッグから突然ビービ―音が聞こえた。
電話かな?あるいは何か悪いことでもあったのか。あるいはにゃんこの身に何か…と緊張が高まる。
急いで浜に上がり、めっさ緊張しながらバッグを開けた。この時点で、そんなことになる可能性は
一切頭になかったが。バッグの中はビシャビシャで。なんか「だし」が出たように水は茶色かった。
嗚呼。
科学文明の利便性に依存するばかりの人間に、自然は強烈な警鐘を鳴らしたのであろうか。
いやはや「防水」の言葉を信じすぎた。いや、防水ではあったのだろうが、つけて泳ぐという想定は
なされていなかったのだろう。せめて実験くらいすればよかったが、我々はあまりに浮かれていた。
ビービ―鳴っていたのは、ヨメ携帯だった。携帯に「断末魔機能」がついてるとは思わなんだ(苦笑)
ただ、彼が自分の命と引き換えに知らせてくれたおかげで、ム携帯とヨメカメラは何とか助かった。
ムカメラとヨメ携帯は、残念ながらご臨終と相成ったが。このなんと尊い自己犠牲の精神。
すごく健気で涙がでそうなほどである。自分らも見習うべき点が多いのではないだろうか。
おおヨメ携帯よ、わすれえじイパオの至宝よ、ねがわくば星となり我らを守らんことを。
ヨメは切り替えが早くて、「ま、iphoneに替えるいい機会♪」と、まあたくましい。
自分もカメラそろそろ買い換えようと思っていたので、データさえ生きていればダメージは少ないかな、
と必死で前向きに考えようとした。ただ、いろんなとこを今まで撮って来たし、前にも書いたかもだが、
不思議と味のあるいい写真が撮れるカメラだったので、なんともさびしい限りではある。でも仕方ない。
そんなわけで、この日以降、自分で自由に写真を撮ることができなくなってしまった。ゆえに当日記でも
今後写真を紹介することがやや困難になります。ごみんなさいね。その分筆の力で描写せねばね。
写真を撮れないのはなんとも凹むばかりだが、まあ、写真を撮ることが旅の目的ではない。
心のカメラに風景を収めていく努力を促されるという意味では、かえってよいのかもしれない、と言い訳。
と、ここからはカメラを失ったが故の負け惜しみになってしまうのかもしれないけど。
以降、バラバラに泳ぐのと荷物の番を交代でやらねばならなくなったので、ヨメが泳いでいる間、
浜でぼーっと座っていた。少し横では、日本のギャル4人連れがいてて、ヨメがいないのをいいことに
しばしその動向を観察してた。これ全然変な目で、じゃないすっよ。人間行動学的見地からよ(嘘つけ)。
すると彼女らは、
ずーーと、ずーーと、ずーーーーーーーと、お互いの写真を撮りっこしていた。
よほど自分に自信があるんだかねえ、と感嘆しつつ、その容姿を眩しく眺めた(やはり変な目じゃん)
おぜうさんたち、あんたがたの足元に、あんたがたと同じかそれ以上、美しい世界が広がってるのだよ。
そういう思いは、ざぱっと上がってきたヨメの姿とともに、揉み消した次第。
と、今度はヨメが憤慨している。ヨメは沖合をずーっとシュノーケリングで回っていたのだが、
ちょうどその辺で、家族づれが楽しそうに騒いでるなー、というのが自分からも見えていたのだ。
「信じられへん、あの人ら、さんご踏んでるねんで!」
ヨメが言うには、家族はさんごをいい踏み台に、胴から上を水面上に出して記念撮影に興じていたのとか。
たまりかねたヨメは、そのお父さんに「すみません、さんご踏んでるんですけど」と注意したらしいが、
お父さんは「は?」と何言ってるのこの人、という様子。もう一度「さんご踏んじゃだめなんです!」と
繰り返すと、「あ、は、はあ」と返事はしたものの、記念撮影をやめる気配はいっこうに無く。
ま、こいうの、知らんとやってるだけなんだろうけど。楽しいのに水差すのも気悪いんやけど、
やっぱり、あっちに行くからには、あっちのことも少しは知ってから行かないかんと思うんやが。
特に、人の親ならば、子にそれを教えないかんはずではないか。あんなんがたぶんに「グアム最高!」とか
「海がきれいすぎ!」とかむしろ写真を他人に見せて言うのかと思うと、ほんまやるせない限りだ。
失礼、なんかぶちまけてしまい、話が思わぬ方向に。ま、写真の恨みからだな。
でも、フォローになってるか知らんけど、グアムの海はやっぱ最高だった。
海の中もそだけど、青い海、白い砂浜、波の音、肌をなぜるそよ風、そして鼻をくすぐる肉の焼けるにおい…
カメラでは視覚だけだけど、五感六感を駆使して、その素晴らしさをわが身に記録しようとした。
それもカメラを失ったからこそだろう、とまだ言うか俺。
ともかく盛り沢山な元旦であったことよ。