『星の旅人たち』(“The Way”)。

星の旅人たち [DVD]

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だいぶ前に見たのだが、書くのが遅くなってしまった。
これを観たのは、忘れもしない英検の発表の日。発表までの時間つぶしと思ったが。
本当にいい映画だったし、その直後の出来事も、観たおかげで前向きにとらえられた。
Road to なんたら、とか自分で言ってるが、この映画の原題は“The Way”だそう。
なるほど道は続くよ、いい嫌味だ(笑)。と観始めた当初は思った。が、それも一瞬。
開始十分後にはもう、両目から鼻から水がとまらなくなっちまったよ(汚いよ)。
フランス・スペイン国境からピレネー山脈を超え、スペイン最西部に至るまで。
西へ西へ。遥かサンティアゴ・デ・コンポステラを目指す、総計800kmの道程。
El Camino”(The Way)と呼ばれるその道は、古より数多の巡礼者を引き付け、
また、彼らを受け入れてきた。現在世界遺産にも登録されているその道は、
今なお、国や人種・宗教・世代を問わず様々な人々によって「歩まれて」いるという。
この映画は、突然にして息子の「遺志」を継ぎ、巡礼の歩みを始めた父の話である。
この設定からして、自分にはヤバい。不肖の息子の自分に、父子ネタは反則である。
もう旅立ち始めた父を見るだけで、涙でスクリーンが、状態。おいまだ序盤やで。
最初はただ歩くだけ、の父であったが、歩みを進めるうち、個性的な「仲間」と出会い、
いろいろとトラブルや衝突も重ねながら乗り越え、息子の「出会い」も繰り返してゆく。
そしてゴール、とちょっと延長戦もあった最後には父の前には無限の海が広がる。
確かに悲しい話だが、エンドロールまで観た後、自分の心に爽やかな風が吹いた。
映画も素晴らしいのだが、是非、いつの日か、自分も実際にその感慨に浸りたい。
いつの日か、実際にこの道を歩いてみたい。そう思わせてくれる映画だった。
そのためにはどうしたらええんかな。それを考えながら生きていこうか、と思った。
趣味のハイクも毎日のウォークも、その日のための訓練と思えば違ってくるだろう。
その意味ではもうすでに、「道」は始まっているのかもしれない。
どうやったら一か月、いや二か月くらいバキッと休めるか、というのもそうだが。
映画で出てきた、素晴らしい仲間との交流。仲間それぞれが、それぞれの国の「代表」で。
自分はその時、十分に「交流」ができるんだろうか、不安だ。語学力もさることながら、
自分は日本の何が伝えられるんだろうか。世界に何を伝えられるんだろうか。全然足りんぞ。
今やってる勉強がそれに役立つんではないかと信じ、日々の生活から頑張っていくこととする。
何ですと。語学はヨメさんが専門だからまかせておけばいいではないか、とおっしゃる。うむ。
実際に巡礼の旅を終えた共通の友人に、「是非ともバラバラに行け」、と薦められたのであるよ。
「見えるものが全然違うから」と。自分もそう思う。そしてそこはヨメも大きく頷くものである。
いやま、そいうのも、自分ら夫婦らしくて、いいではないか、と。
以下は「ネタバレ」というか、スペイン語者としてのヨメからのツッコミどころである。
こういうのが、わかった方がいいのか、わからん方がいいのか、難しいところであるが。
その前に、本日の言葉を言っとく。
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<本日の言葉>
「人は人生を選べない。ただ生きるだけ―」(作中より)
「世の中、イヤな奴ばかりだ。あえて敵をつくることはない」(作中より)
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☆自分も「あっ」と声を上げた、川に落とした荷物を泳いで拾うシーン。その後の夜明かし。
 「スペインの夜は寒いので、たぶんあそこで凍死している」とのこと。
☆あのジプシーの祭りは、あり得ない、と。
サンティアゴ・デ・コンポステラで、香炉を振り回す荘厳な儀式のシーンがある。
 あれはもともとは、旅を終えた巡礼者が臭いので、消臭効果を狙ってのことだったとか。
☆レオンという町で一晩だけ高級ホテルに泊まるシーンがあるのだが、あのホテルは超有名で。
 予約をとるのが大変なので、あんなフラッと入って泊まれるものではない、ということ。
☆全体的に言えることだが、おそらくあんなに英語が通じるわけではないだろう、とも。
☆しかしスペインも制作にかんでることもあって、見せたい場所や見せたい風景が数多く、
 これでもか、というくらいちりばめられていて、それはそれで素晴らしい、とフォロー。