Road to 大阪城「アウェイ戦」。

例の『10000人の第九』であるが、性懲りもなく今年もやっている。
自分をこの道へ引っ張り込んだ、もとい誘ってくれた、岐阜もとい義父が、
「今年は観客として観たいので、ヨロシク」ということで。ヨロシクって…
いやまそれは冗談として。第九=『歓喜』の何が「歓喜」なんかが、二回やっても
いまいちわかってない気がするので、それがわかるまではやるつもりでいた。
て、一生かかってもわからんのかもしれんけど。じゃあ一生やらないかんのか…
で、今年もレッスンを受けているわけだが、「経験者」の自分は去年と同様、
全6回の「経験者コース」に参加するのが本来である。が、厳正なる抽選の結果、
何故か第三希望くらいの「初心者コース」(全12回)に配属されてしまった。
最初は、まじかよ12回行くのだるいわ…、とか、今更ドイツ語の読み方からってな…、
とかとか。正直なめていた。しかし、逆に今ではすごくラッキーだったと思う。
理由は5つある。
1、まず、うまい人のオケツにひっついてたらよかった前回と違って、今回は自分が引っ張らな、
という意識が生まれた。逆にちゃんと歌わないかん、間違えたらいかん、という緊張感が出た。
2、その関連から、しっかり改めて歌詞と楽譜を見たら、今まで二回本番に参加しておきながら、
思いっきり間違って歌ってたとこが数か所わかった。今まで自信たっぷりにまあ、と冷や汗。
3、いうても自分のパート(バス)を覚えるので必死だった前回までと違い、余裕があって、
先生が他のパート(ソプラノ、アルト、テノール)の説明をなさってるのを、面白く聞けた。
んで、ソプラノのこの佳境がとか、アルトのこの切れ込みが、テノールのこの合いの手が、とか、
他のパートで大好きな部分、て変な言い方やけど、それがいっぱい出てきた。四つすべてが
お互い支えあってるし、同時にすべてが主役なんだ、というのがあらためてわかった。
4、また違う先生にならってるわけだが、前の先生と指導法が全然違って、興味深い。
教える者のハシクレとして、大いに参考にさせてもらってる。
5、週ごとに、周りがどんどんうまくなっていくのがわかり、それが自分のことのように嬉しい。
また、それに非常に刺激される。焦りすら覚えてくる。
で、レッスンももう10回目となった。早いものだ。そしてレッスンの最後には恒例として、
指揮者の佐渡裕氏から、直々に指導を受けることとなっているのだが。今回自分はなかなか
休みがあわなくって。唯一出れそうな日は、東京開催の日ということなんだわ、これが…
と、恥ずかしいことに、自分の中の「ウレシ」(*注)の虫が、うずき始めてしまった。
(実は、佐渡裕レッスン参加は「義務」ではない。)
東京、行ったろうじゃないの。指揮者も含め、向こうからもこっち(大阪)に来るんだから、
こっちも向こうに行くのが礼儀ってもんやろう。て、なんかわからん論理づけであるが。
「東京にレッスンを受けに行くねん」、その響きがまた、いいではないか。素敵やん。
ヨメの高校の友人に、現在プロとして活躍されてる歌手がいるんやが、その人は高校のとき、
毎週東京までレッスンを受けに行ってたそうだ。それ聞いて以来、自分も一度でいいから、
そういうこと言ってみたい、と思っていたのだよ。だいぶレベルの差はあるがね(笑)。
ま、冗談はさておき、本当の理由は、東京クラスの方はこっちにもましてモティベーション
高いと聞いているので。ま、わざわざ大阪来て歌おう言うんやから当然といえば当然だが。
その雰囲気を一度味わっておきたいということがある。もちろん、久々の東京見物とともに、
旧交を温めるというのもより大きな魅力ではある。まあ、いい口実ができた、ということだ。
行くぜ東京、人口の大半が巨人ファンであろう(そうか?)、アウェイの地。
大阪の代表として恥ずかしくないように、準備をして、しっかり歌って来たいと思う。
合格祝賀旅行になるか、また傷心旅行になるかはわからんけど、楽しみにいろいろ調べている。
つくづく、ウレシか俺。おお、ウレシ=「歓喜」ではないか。うまくできた話。
*****
(注)
【うれし(がり)】(大阪弁
しょうもないことで嬉しがる人。小さな話題でも、嬉しそうな顔をして人に話そうとする人。
誰も聞いていないのに知っていることを一方的に永遠としゃべるなど、度が過ぎる場合は嫌われる。
うれしがりかおまえは。「うれし」とも言う。(出典、『Weblio辞書』)