「神の子」。

火曜定休を利用して、夏の甲子園の兵庫予選を訪れた。
比較的近い場所で野球が楽しめる、尼崎球場は重宝だ。
本当はT塚でもやって欲しいところだが。ここには球場がない。
昔はあったらしいんだけどねえ… 返す返すも残念である。
いつもの感覚で、ガラガラの球場でまったり見られると思い、
第一試合の半ばにゆっくりと到着したら、内野は立錐の余地もない。

甲子園の常連・報徳学園と甲子園経験もある公立の雄・市尼崎の顔合わせ。
特に市尼崎のお膝元ということで、この客足となったのだろうか。
平日の昼間にしてこれは、大いなる驚きである。
息詰まる投手戦を報徳学園が制した(1−0)後、自分が目当てとしていた
関西学院の試合が始まった。関西学院のセンターで三番を打つ八木亮介選手。
彼こそは、かつて「神様」と言われた、元阪神八木裕選手の長男である。
これは観ないわけにはいかないではないか。なんかこう、自分の息子というには、
年のバランスが悪いし、弟というのもおこがましいけど、自分のずっと年下の従兄弟、
みたいな感じで、ほほえましく見ざるを得なかった。
左右の違いはあるけど、細身ながらもリストの強そうなスイングをする姿は、
本当に、お父さんの、しかも入団当初を見ているかのようだった。
ただ、お父さんよりも大分、シュアな柔らかいバッティングで。その違いも楽しめた。
実は「神降臨」がもしかしてあるのでは?、とカバンに色紙をしのばせていたのだが。
ま、ないわな(笑)。お父さんもいろいろ忙しい。なんといっても大変な時期だし。
しかしせっかくだから、息子にもらおうかとも思ったが、こんな中年のオッサンに
高校生がサインせがまれても迷惑だろう、と思いとどまった次第。
彼がもっともっと成長して、誰にサインを求められてもおかしくないような選手になる、
その日を夢見て、色紙はとっておくことにした。

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なんで、自分は高校野球に、しかも夏の高校野球に、夢中になってしまうのか。
それが今更ながら突然分かった。それは、全ての試合が、どっちかの最後の試合だからだ。
このあまりにも当たり前の、あまりにも切ない事実。
おっちゃん、そいうこと、最近わかってん(苦笑)