『[死闘]―昭和三十七年阪神タイガース』
死闘 昭和三十七年 阪神タイガース (死闘 昭和三十七年 阪神タイガース)
- 作者: 塩澤幸登
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2012/04/18
- メディア: 単行本
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現実に目を背け、50年前の、しかも二次元の世界に旅立ってしまいましたとさ。
いやあ、450頁にも及ぶ大著。題名もさることながら、その分厚さにヒイてしまったが。
思わず購入してしまった自分にはもっとヒく。いつもながら、貪るように一気に読了。
中盤だらだらと続く、事実とデータの羅列にめげそうになったが。それも乗り越えた。
このオタクの自分にしてこんな苦痛なのだから、常人に読破は無理だと思うぞ。参ったか。
しかしそれより前の、吉田義男や小山正明の前歴やら入団経緯やらにまつわるこぼれ話。
藤本定義(当時阪神監督)や青田昇(当時阪神ヘッドコーチ)と、三原脩(当時大洋監督)、
川上哲治(当時巨人監督)をめぐる「巨人」を軸とした因縁。意地と意地とのぶつかり合い。
それらは、いちいち興味深く、目からうろこから落ちる思いの箇所もあった。
後半から終盤にかけての、小山正明・村山実、両鉄腕の八面六臂の躍動には、手に汗を握った。
そして、伝統ともいえる勝負弱さ。大洋との最後の二連戦で、一勝でもすれば大分楽になるところ、
きっちりと二連敗してしまうというのが、お約束というかなんというか。思わずのけぞってしまう。
それから、やっぱり、俺、巨人嫌いやわ(笑)。それを改めて認識した。いやま、誰が嫌いとか、
チームが嫌いとか、そいうんではないんやわ。まそれも、あるにはあるんだけど(どっちやねん)
「巨人」という摩訶不思議なシステムに対しての、戦慄いうんかな。あれは何なんやろな。
そのシステムこそが、三原を、水原茂を、青田を、別所を、広岡達朗を、そして川上もそうかもしれん。
巨人への大功労者を巨人から去らしめたのである。そうして保たれた「巨人」とは一体何か?
なんか回文のような文章になってきたのでいい加減にするが。しかしこういう経緯が頭に入ると、
なんで別所とか青田は生前、ニュース等であんなに「巨人推し」で通していたのかがわからなくなる。
その辺掘り下げてみると、かなり面白そうだ。昔は巨人憎しの一心で、彼らを全く受け入れてなかったが、
非常にもったいないことをした。取り返そうにも、もう彼らは鬼籍に入ってしまっている。
もひとつついでに、阪神タイガースの戦後初の優勝は、巨人がくれたようなもんなんよなあ。
藤本―青田の巨人コンビが首脳陣なのもそうだし。先に述べたように、勝負どころで大洋に連敗して、
もう絶望というところを、次のカードで巨人が大洋を三タテ。ナイスアシストをしてもらった次第だ。
思えば、二リーグ分裂の時も、我が阪神は巨人の金魚のフンでついて行った経緯があるし。て古いな。
なんか、打倒巨人、アンチ巨人の旗頭を標榜してんのが、実は恥ずかしいくらいなんよな。
憎いとか嫌いとか思っているのも、ただやみくもに思っているだけで、よく調べたら実は、
憎みきれない事情とかがでてくるもんや。何でもそやないのかな。
て、なんかよくわからん話になって来たけど。
まとめると、だからって、巨人が好きでは決してないぞって話。て、どないやねん。
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<本日の言葉>
「わたしたちは、ひとりひとりの問題としてだったら、目の前の困難な状況を乗り越えようと
努力することができるはずだ。現実の具体的なことについては書かないが、きちんと生きることとは
日々を一日ずつ自分の決めた論理に合わせてきちんと終わらせて生きていくことである。」
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本書のより。この箇所で、思わず感涙。
なぜそんな話になるのかは、本書を読んでのお楽しみ。
ただし「データ地獄」は想像以上にきついぞ。