『ダメ人間』。

ダメ人間 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

ダメ人間 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

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「ミスター水曜どうでしょう」こと、鈴井貴之氏の自伝である。
自分の中では、「ミスター」と言えば、永久に不滅なかの人のことよりむしろ、
この人のことを指す。というほど大ファンの自分にとって、この本との出会いには心ときめいた。
なんせ本屋で↑あの目で見つめられてしまっては、これは買わないわけにはいかなかった。
(何のことかさっぱりわからん、という人はこちら →http://www.htb.co.jp/suidou/
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E6%9B%9C%E3%81%A9%E3%81%86%E3%81%A7%E3%81%97%E3%82%87%E3%81%86
作中でミスター氏が大泉洋氏に「ダメ人間!」と罵られた場面が、この衝撃的な題名の由来なのだろうが。
いやもう、失礼な言い方だが、そんな生易しいものではない。ほんまどうしてん、というくらいの
ダメっぷりである。テレビで見ていた「我らがミスター」の姿からは全く想像も出来ない過去、だ。
でも、自分らが見てるのは、他のどんな有名人でも、いや有名人でなくてもそうなんだろけど、
人という山のほんの頂きの部分だけで、その人を作った、果てしなく広がる裾野の部分があるんだ、
時には暗き樹海があるんだ、ということを忘れがち。それを改めて知らされた意味では、ためになった。
また、自分も青春時代を超ダメ人間で過ごしたこともあり、いちいち共感することも多かった。
「劣等感が捩じれた結果生まれた根拠のない自信」というのは、特に身につまされた。
(「今でもダメ人間じゃん」というツッコミは認める)
実は、この本を読んだのは、試験発表直前の緊張を紛らすためであった。自分にとって大事な時に
ミスター氏がそばにいて力をくれていた気がする。結果はあかんかったが、それとは関係なく嬉しかった。
ますますミスター氏が、自分の心に近づいた気がする。一生ついていきたい、という思いを新たにした。
今夏には、続編『ダメダメ人間』が文庫化されるということで、
さらにどんなダメダメっぷりが展開されているか、楽しみにしている。
その時までには、自分もちったあましな人間になっていたいものである。
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<本日の言葉>
「物事は捉え方、見る角度によって180度変わる。ポジティブ思考も結構だが、
 ネガティブも正しく捉えれば前向きになれる。となると、
 後悔、自己嫌悪こそ前へ進むのに必要不可欠な浄化作用と考えられる。

                          本書より