講演会「福本豊・阪急ブレーブスを語る」。


*****
先日述べたように、この異様に勝負弱い自分にしては非常に珍しく、
当選したので行って来た。当選以来、少年のように心ときめかせ、
(それは自分には珍しいことでは全くない)、この日を待望していた。
フェイスブックツイッターにアイフォンに、と皆が我先に最新メディアと
最新情報に群がり、「先んずれば人を制す」と鼻息を荒げている昨今だが。
加トちゃんだったかが、昔コントでこれを「んずればをす」と読んだ。
 それはいまだ忘れられない。余談失礼)
この講演の申し込み受付は、昔懐かしい往復葉書であった。これは或いは、
いわゆる「IT格差」に悩むオールドファンに対する配慮もあったのだろうか。
葉書をしたためる段階から(字汚いけど)、古き良き昭和を存分に感じていた。
自分は阪急ファンではなかったので、真の阪急ファンにはかなり悪い気がしたが。
やはり「生涯一野球オタク」として。また「解説者・福本豊」を愛する者として。
この機会を逃すことはできなかった。
講演は、それは楽しいひとときであった。さすが福本氏のオーラはすごかったが。
暖かくざっくばらんな(悪く言うと、いい加減な(笑)。ご自分でもおっしゃっていたが)
お人柄に接し、腹がよじれるほど笑った。その中、ちらりと見せる鋭い眼光、すなわち
勝負師としての顔には背筋が伸びる思いがした。また、そこは世界一の偉業を成した人。
非常に含蓄のある言葉が、随所にあった。中でも、
*****
「自分は下手やったから成功した」
*****
この言葉にはびびっときた。入団当初、非力で引っ張る打撃が全くできなかった福本氏。
しかし西本監督のアドバイス(?)を受け、当時の主力選手を真似てひたすら振り込み、
40日間猛練習された、と。そしたら、自分でもびっくりするほど打てるようになった、と。
たかが40日、されど40日である。その40日で人生がかわった、と述懐しておられた。
自ら学ぶ者、また、人に教える者として、自分は日頃、「下手やから」「できへんから」
で、済ませてしまってないか。それでもったいないことしてへんか。大いに考えさせられた。
最後「福本氏への質問コーナー」というのがあって、こんな偉大な人と話せる機会は
一生で二度とないかもしれん、と、心臓バクバクしながら、おずおずと手を挙げたが、
残念ながらご指名は受けず。隣に目立つ「フル装備」の人がいたのもアンラッキーだったが。
いや、指名されんでよかったかもしれん。指名された方はどの方も、コアなファンの方で、
日本シリーズで初めて巨人に勝った後、号泣されたのは何故?」とか
「千個以上の盗塁の中、ホームスチールはひとつだけですが、やはり難しいですか」とか
極めつけは少年の「野村さんの本で読んだのですが、ドラッグバントを本当にしないんですか」、
など、「レベル高え!」という質問ばかりで。いや、当たって自分が質問してたら恥かいてた。
あるかわからんが、この次お会いする機会がもしあるまでに、しっかり勉強しておこうかとも思う。
宜しくご指導下さい、と誰に依頼を。
ますます、福本氏の解説が楽しみになった。次の中継を観るのは来年だろうが、待ち遠しい。
ただ、氏の面白さが増幅されるのは、「負け試合」でこそ、なんだよな… 逆説的な悩みだ。