「鉄道の日記念切符」の旅。

発端は、お世話になっている方からの、あまり普段されることのないオススメだ。
「うちの先祖伝来のヨロイが展示されるので見てきて」と、ただ券をもろた。
いや簡単におっしゃいますけど、これ、めっさ遠いですやんか、とは口に出せず。
あまり細かく書くと特定できてしまい、その方に迷惑がかかるといけないので、
敢えて伏せるが、ともかく名○屋近辺、とだけ述べておく(あまり伏せてないか)。
ヨメがこの連休前半に出張で上京していたので、それに対抗意識を持ったのもあるが。
ま、腰を上げるには十分面白い(?)理由である。そして交通手段である。
春夏冬のシーズンなら「青春18切符」を使うところだが、秋にそれはあり得んし。
他に、中京圏行きのオトクな切符とかないんかな、と検索をかけていて、偶然知った。
なんと十月前半限定の「鉄道の日記念切符」なるものがあるらしい。不覚やった…
こんなんも知らんとは、もう鉄オタ引退しよかな… いや買った時点で無理やな(笑)。
ルールは青春18と全く一緒。三回組9,180円は、五回で11,500円の青春18に比べ割高だが、
余ってどうしようか悩む五回に比べ、三回ならば消化しやすく、その点のうまみはある。
で、せっかくだから(?)、行きは草津・柘植・亀山経由にした。旅情倍増、であるよ。
そしたらついでに、三重県にある先輩の墓参りできるし、一石二鳥だの(笑)。
いや嘘先輩、墓参りが主目的です。お前こんな時だけきやがって、と叱る声が聞こえる。
久しぶりになってしまったが、来るたびに思う。自分は先輩にもろたような人生を、
恥じないように生きてるのか、と。頑張ってるつもりやが、それは、わからない。
ただ、次来る時には、もうちっとましな男になってるつもりなんやが、と。
毎回同じこと言うな、とまた叱られそうであるが。進歩がない自分であるな。
少し長居してしまったので、名○屋への道を急ぐが、亀山で足止めをくらう。
この、乗り継ぎ考慮ゼロがまたよい。まあ、事前に調べとけ、という話もあるが。

下車して探検する。すると「亀山みそ焼きうどん」というノボリが目を引く。
これも未知との遭遇。B級グルメオタでもある自分は、一も二もなく店に突入。
甘辛い風味と、大ぶりの豚バラがなんとも珍しく、「異国情緒」を存分に感じる。
まさに「遠くのマクドスタバより、近くのB級グルメ」である。マクドスタバも好きやけど。


「異国情緒」と言えば、ナゴヤドームを初めて訪れ「見学」した。この日たまたま、
中日―ヤクルト戦、両チームにとり今シーズンの全てをかけた大一番が行われていた。
野球オタクとしては、見逃せなかった。何の苦もなく券が取れたのは、少し寂しかったが。
しかしこの試合観戦は、なんとも不思議な感覚だった。両ファンには非常に悪いんであるが、
両チームとも、自分にとり、全く何の感情も抱かない、悪く言うと「どうでもいい」チーム。
阪神戦観戦と違うのは言うまでもなく。嫌いな球団(どことは言わんけど)の観戦とも違う。
「愛の反対は無関心」と言ったのはマザー・テレサであるが、その言葉を思い出した。
彼女の使った意味とは、全く違うのだろうけど。しかしこれ、悪い感覚ではなかった。
熱狂的に盛り上がる場内、熱く闘う両軍を目にしつつ、自分はそのどこにも属していない。
贔屓チームの「アウェー戦観戦」など比ではない、「アウェー感」が自らに押し寄せる。
それがむしろ、自己の存在意識を高める気がする。ああ、俺はここにあるんだ、みたいな。
この感覚を知ってしまった今、また野球オタクの階段を一歩上がった気がした。
て、どこまで上がるつもりだ。


もちろん、「名○屋めし」も存分に堪能した。好物の「山ちゃん」に、「味噌煮込み」。
味噌煮込みは、郷に従って、蓋を利用し食した(すみません、蓋写し忘れた。重要なのに)。
お前は本当に蓋で食いたいのか、と。お前蓋で食ってるとこ見られたいだけちゃうんか、と。
食ってる間じゅう、どっかから問い詰められている気がしたが。それも旅の妙味。
唯一の心残りは、名○屋名物モーニングなるものを食したいと思い、朝、ホテルの近くの
茶店にノーリサで入ったところ、出てきたのが、普通にトーストとコーヒーであったこと。
やいてめえこら、これ、モーニングやないか! 俺が食いたいのはモーニングやなくて、
その、ええと、つまりモーニングなんや! との、混乱錯乱した陰の声は出せるわけなく、
黙ってもそもそと、トーストを齧った。ちきしょう、うまいぞ。それがまた悔しい。
というわけで、宿題もできてしまった。次回リベンジを果たしたいと思う。
生きることとは、こうして、諸所に宿題を作って行くことではないか。
あってますか、先輩、と。そう結論した、小旅行であった。
これで終わったように書いてるが、実際は、こっから恐ろしく時間かけて帰ったのである(そして出勤)
おおヨロイのことに全く触れられんかった。ちゃんと行ったのですけど。
ま、それは詳しくは書けんので、ご容赦! 歴オタとしての自分も十二分に満足させられましたが。