伊良部よ永遠に。

朝から、どえらいニュースをヨメから伝え聞いた。寝ぼけているのかと思うほど、信じられなかった。
驚きに輪をかけたのは、つい昨日、何となくYoutubeで伊良部を観てたばかりだからである。
(なんでそんなもの観ているのか、というツッコミは認める) 虫が知らせたでは済まされない偶然だ。
横山やすしが、最後の破滅型芸人と呼ばれているのに倣えば、伊良部こそ、最後の破滅型野球人だった気がする。
賛否はあるけれども、そのアウトロー的な人間臭さが大きな魅力だった。今そういう人は非常に少なくなった。
また、そういう人を許さない社会になってしまったような気がする。それが「いい社会」なのかはわからない。
高校から伊良部を見ていた者としては、思い出がありすぎて、何を書けばよいのか迷ってしまうが。
阪神優勝に貢献してくれた2003年の活躍は、その中でも一番忘れられない。まさに優勝請負人、の風格だった。
甲子園初登板を勝利で飾り、お立ち台に立った彼は、スタンドを睥睨し、上気した顔で言った。
「いやあ、甲子園は世界一ですよ」
それを聞いた時のゾクゾク感、そして子供のような伊良部の笑顔、いまだに覚えている。
笑顔と言えば、その年の優勝試合で、胴上げに加わる時のそれも最高だった。思えば彼はその試合の先発だった。
日本シリーズでは、世界一の甲子園で投げてたら、また結果は違ったのかな… と、まあ、それは御愛嬌で。
本当に、「野球小僧」がそのまま大きくなった人であったのだろう、と思う。いろいろ言われているが、
こと野球に関しては本当に純粋な人であったと思う。あまりに大きく純粋過ぎるがゆえに、社会の方が彼を
溢れさせてしまったのだろうか。その野球愛とノウハウを後進に伝えて欲しかったが。もうそれもかなわぬ。
今はただ、目をつむり、彼が身をよじりつつ高々足を上げるフォームを脳裏に描くことしか出来ぬ。
合掌。