ときめき・ふたりハイク「伊吹山」。

七合目付近で振り返る。手前の建物は六合目避難小屋。青い屋根は五合目休憩所。

トワイライトゾーンへ。

山頂に到着。瀕死。

光射す。

三合目より伊吹山全容を臨む。暖かく見送られている感じ。

*****
静まれ、静まれいー。この紋所が目に入らぬかー。
自分的には、あおい輝彦伊吹吾郎ペアが一番馴染みがあるんすが、みなさんはどうでしょう。
水戸黄門、終わってしまうらしいですね。日本人の長い旅が、ひとつ終わったようで一抹の寂しさがある。
いやま、はい、そう。「伊吹」言いたかっただけです。ところがそんな冗談を言っている場合ではなく。
今回は「ときめきハイク」史上最大と言っていい危機に陥ったのであるよ。無事に帰ってきてよかった。
伊吹山。標高1,377Mの滋賀県最高峰。美麗な独立峰。名神高速や新幹線からその雄姿を見るのは楽しみだった。
ただ、山頂までドライブウェイが通じ、また、中腹まではゴンドラやリフトがあるなど、「手軽に楽しめる高山」
だという噂を聞いていた。今回はゴンドラに乗る予定で出掛け、正直物足りないかな?となめた気持ちもあった。
それが、である。二時間半電車やバスに揺られた後、いざ麓に着くと。なんとなんと。ゴンドラが止まってた。
それこそ水戸黄門の印籠級の衝撃。下調べは綿密に、と反省。このご時世「つぶれたんだよ」の想定は常にせねば。
仕方がないので、イチから昇ろう、と。今日は1300M昇るぞ!と、朝から気合で来たならよかったのだろうけど。
気持ちの切り替えに苦労した。たとえて言うなら、先輩と仕事をするはずで、先輩が「基本的には僕がやるから、
君は当日来て横にいてくれるだけでいいからね」と言ってくれてたのが、当日その先輩にドタキャンされた、的な。
どないせえ、ちうねんと絶望しつつ上がり、既に汗だくになり疲労もつのり、さらに絶望に輪をかけたのが、
ある程度登った後の「一合目」の看板。おお、さっきイチから言うたのは大きな間違いで。ゼロから、やったのか。
ただゼロ合目から一合目は木陰の道でまだましだったが。二合目までのゲレンデみたいなとこを上がるのが
本当にきつかった。ヨメと協議し、ゴンドラで行くはずだった三合目までは取り合えず悔しいから行こう。
そこで、めし食って(早)、それからのことはめし食った後で考えよう、ということになった。ほんま苦行だった。
三合目につくと、視界が開け、山頂までの全貌と、白い蟻(それはシロアリ)のように続く人の列が見えた。
見えるとやはり行ってみたくなるのが人情。「五合目まで行って、それからは考えよう」「七合目まで…、」と
伸ばし伸ばしに、だましだまし、昇り続け。そうこうするうちに、高山の雰囲気が出てきて楽しくなってきて。
大山でも思ったが、九合目超えると、なんか「あの世」的な感じになってきた。ガスが雰囲気を強める。
すれ違った少年が「もう少しですよ」と笑顔で励ましてくれる。信心の足りない自分だが、仏様を見た気がした。
そしてついに登頂。苦労のぶんだけ、この達成感は格別だった。自分の中で、何かが変わった気すらした。
道中の苦労を支えたのは、すれ違う人との挨拶であり、ヨメとの労り合いでもあった。が、それと同時に。
「山頂まで行ったら、ドライブウェイが通じているので、バスか何かで帰れる」という甘い気持ちもあった。
事前に見たブログでも「苦労して登頂したら、山頂にパンプスはいた普通の格好の女の子がいて萎えた」とあった。
最悪人生初のヒッチハイクでも…と思っていた。ところが、売店のオジサンに聞いてみると、なんとなんと。
台風のため道が崩れて、ドライブウェイが閉鎖になっているのだとか。むむう。仕方がないので、歩いて戻る。
三合目まで降りたとこで力尽き、そこからはタクシー呼んで帰った。はからずも豪遊になってしまったよ。
猛省するのは、自らの準備不足と、見通しの甘さだ。今回は偶然無事だったが、大事故に繋がる可能性もあった。
達成感も山頂の素晴らしさもさることながら、反省点をしっかり覚えとかないと。教訓に、次に臨みたい。
つうか、全身の筋肉痛が、いまだ激しく「教訓」を自らに伝えている。ぬおお。
<本日の言葉>
人生楽ありゃ苦もあるさ。涙の後には虹も出る。
歩いてゆくんだしっかりと自分の道を踏みしめて。


結局、水戸黄門から離れられませんでした、と。