『鹿男あをによし』。
- 作者: 万城目学
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2010/04/01
- メディア: 文庫
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少し前に読了。奈良を舞台とした青春学園絵巻。
それを万城目学はただで終わらせない。悠久の時の流れが、そこに感じ取れる。
奈良という土地柄が、その悠久的雰囲気に輪をかけている気がする。
さすがは、うちのネコの故郷だけのことはある。関係ないか。
漱石『坊っちゃん』ファンとしては、本作に存分に溢れるパロディ要素も嬉しかった。
また、キャラクタがよい。失礼ながら、自分は万城目氏とは女性観が似通っているのかもしれない。
魅力的な女性は、本当に魅力的ではあるし。むかつく女にはとことん、むかつく。
本作の堀田イトしかりマドンナしかり。『プリンセス・トヨトミ』の旭ゲーンズブールしかり。
凛とした美しさには、思わず文字世界に旅立ちそうになるほど囚われる。
翻って、『鴨川ホルモー』の鼻の美しい女(名前忘れた)、あれには本気でむかつく。筆者の思う壺か。
それをだね。映画『プリンセス トヨトミ』であるよ。綾瀬はるか出演というのは、前から聞いていて、
彼女に旭役やらすんか。なんか大分イメージ違うな、と思っていたが。それは大きな間違いだって。
先日知ったが、旭役は別の男性(!)がやり、綾瀬は、原作では冴えない男だった鳥居役をやるんだとか。
こういう、俳優に合わせて無理矢理原作を変えてしまうのんって、どうなんやろうな。
調べると、『鹿男…』のドラマでも、本来飄々とした青年である藤原君の役を、無理矢理女に変えてしまって、
そこに綾瀬がおさまっていた、ということである。旭の凛とした魅力、藤原君の漂然とした魅力、
それも各作品のキモであると思うのだが… 特に、旭を男にしちゃったら、どうやってラスト持ってくんや。
だいいち、旭という名前からして、旭姫からきとるって、知っててやっとるんか、と。
綾瀬はるか自体は素晴らしい女優であるし、彼女自体をとやかく言うのではない。方法論の問題である。
そういう正論を超えた、なんか、綾瀬はるかを使いたい、いや、使わないかん大人の事情があるんやろうな。
そういうのは、今の阪神タイガースだけで十分である(蛇足)。
毎度ながらすっかり話がヨレてしまったが。いつもながらの放言、失礼千万。
ともかく、読んだ後は、心の中を、古都の爽やかな風が吹き抜ける。それを是非体感して頂きたい。
最後に、自分が読んだ文庫本の解説は、児玉清氏が書いてらっしゃった。
そして、それを読んだ次の日に、児玉氏の訃報に接したので、非常にびっくりしたのである。
氏の博識に今更ながら驚くとともに、この小説で扱われている不思議な縁が、この現実界にも続いている、
そんな気にさせられたのであるよ。児玉氏のご冥福を心よりお祈り申し上げる。
何故角を取らない。お叱りの声を、胸に残しつつ。
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(おまけ)
自分は奈良は好きだが、鹿せんべいも好きだが(食うな)、
鹿は苦手である。噛まれたことがあるのだ。