クラシックな午後。

幸田浩子仲道郁代デュオ・リサイタル」に行ってきた。
会場はI市市民文化会館。自分は中学から高校の6年間をI市(何故伏せる)で過ごした。
この文化会館は学校の観劇会等で何度か訪れたことがあり、なんとも、懐かしかった。
その度に、熟睡していたなー、と思い出した。今日は、しっかり起きておかなければ(おい)。
前にも書いたと思うが、幸田浩子さんはヨメの高校の同級生で、ヨメと親交があるのだ。
と、すね夫的発言をお許し。ともかく、昔から家族みんなで、応援しているんである。
今日は父母インロー(内角低め?)も一緒やし。とりわけ、寝るわけにはいかん(おいおい)。
いや実際、素晴らしかった。
自分ごときがクラシックを語るのも、いかんのやけど。そこを敢えて書くと。
幸田さんの歌声は相変わらず素晴らしい。今回は日本語の歌も何曲か披露され、それも新鮮だった。
また、最後の方のデラックァ「ヴィラネル」、グノー「私は夢に生きたい」、などにおいては、
「奇跡の高音」が存分に出され、日本を代表するソプラノの真骨頂をそこに見た気がする。ともかく魅了された。
仲道さんのピアノも素晴らしく、特にベートーヴェン「月光」の、バラバラバラっと上がって行くところは、
(ごめんなさい、こんな表現しかできず)その鮮やかな指さばきが際立った部分であったと思う。
陳腐な表現で申しわけないが、まさに感動、感動の一言であった。
ただ、いくつか残念なこともあった。まず、曲の終りの時に何回か、たぶん一人のオッサンが、
「よっ」だか「いえっ」だか何か知らんけど、「合いの手」の声を入れていたことがある(大声で)。
よう聞こえんかったねんけど、まさか「幸田屋!」「仲道屋!」というのでもあるまい。
わからん、そういう流儀もどっかにはあるんかもしれんけど。自分には理解できへんかった。
ノリのよい曲だったらまだわかる。でも、しっとりうっとりのバラードでもそれやっとったから。イタい。
曲が終わった後の静寂。剣道でいうところの「残心」というか。何とも言えぬ緊張が一つの極みに収斂する。
そして曲の感動を噛みしめる。その瞬間が一番いいんやないか。クラシックのレーゾンデートル、ちゃうんか、と。
そう自分は思うのだが、違うだろうか。それが一人のオッサンのために、台無しや。
お前、「よっ」て言いたいだけちゃうんかと、ゆうに六時間くらい問い詰めたいところだ。
遠かったから、誰かわからず、仕方なかったが、近かったら、絶対抗議に行ってた。
終わってからもプリプリ怒ってたら、いつまで怒っとんねんしつこい、とヨメに叱られてもうたやないか。
あと、自分はいうても素人なので(素人がレーゾンデートルを語る矛盾)わからんかったのだが。
ヨメと父母インロー(再び)は、ピアノと会場の音響のショボさをしきりにこぼしていた。
プロに使ってもらうのは、あまりに申しわけないんちゃうか、と。I市にとって恥ちゃうんか、言うとった。
ピアノ買うためやったら喜んで税金払うのに。商業地とマンション造るんだけが町おこしちゃうで。と。
と、そういうマイナスもあったが、それは、コンサートそれ自体には関係ないし。
それを補ってあまりある、お二人の素晴らしい演奏であった。
中盤の毒吐き、失礼いたしました。すみません。