『鴨川ホルモー』。

鴨川ホルモー (角川文庫)

鴨川ホルモー (角川文庫)

ホルモー六景 (角川文庫)

ホルモー六景 (角川文庫)

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立て続けに読了。
どうしても鴨川「モルホー」と言ってしまうのは私だけか。その間違いついでに、
タルホー(何?)の親戚みたいなものかと思ってしまっていたが。甚だしき勘違いだ。
映画化がされていたということで、名前だけは知っていたのではあるが(間違えてたくせに)、
今回『プリンセス・トヨトミ』から流れを遡って、読むに至った。万城目学ワールドのすっかり虜だ。
余談だが(そもそも全て余談)、失礼ながらこの著者名も、読めるようになったのは最近のことだ。
最初は「万城・目学(まんじょう…あと読まれへん)」さんであると思っていた。そんな奴おらへんやろ。
いや、実際、面白かった。
ネタバレに気を使いながら、大雑把に説明すると、京都の学生たちのサークル活動の話である。
それにファンタジーや歴史の要素がからんでくる、て自分でもわかんねー説明だー。
ごめんなさい。読んで。(←丸投げ)
前も書いたが、小説の醍醐味は、どれだけバカバカしいことをどれだけ大真面目に書くか、にある。
その観点からは、まさにど真ん中ストライク、の本書ではある。丁寧な設定描写が心憎いほどである。
また、京都で学生時代を過ごした者としては、特に小説上の「四神」のひとつに在籍してた者としては、
情景がありありと眼前に浮かんでくる地名や建造物が多く、その辺が楽しみに輪をかけた気がする。
三条木屋町居酒屋『べろべろばあ』というのが出てくるのだが、その付近で「べろべろ」になったことは
結構ある。自分は出入り禁止と思われる店もある。まもう時効だろうが。自分の心に時効はないのであるよ。
あとまあ、恋愛が極めて形而上学的かつ自己完結的かつ現実逃避的な問題であったことを始め、
悶々と呪縛に苦しむ、いや自ら呪縛を求める主人公の姿が、昔の自分と重なり、こそばゆい感じがした。
いや、重なる、というのは失礼か。自分は学生終わっても長々っと、ぐずぐずくよくよしとったからのう。
て過去形で言っていいのか自分、というツッコミはさておき。本書のレビューに話を戻すと。
おいおい、という古典的ベタな展開もあるが、それもまあ、御愛嬌という感じで。最後には主人公とともに
大いなるカタルシスを得られる。うんうん、それが一番人にとって大事なことかもしれないねー。
と、自分に甘い自分は特に、そう思ってしまうのかもしれないが。て何のことだか。ともかく読んで。
『…六景』の方は、いわゆるスピンオフではあるのだが。
むしろ自分はこっちの方が面白かった。違う視点からモルホーじゃなかった、ホルモーを見つめることで、
さらに世界観に深みと広がりが加わったというか。あそこが出てきてないのはなんでやねん!という不満も
ここで一気に解消されたのもよかった。て何のことやねん、という方はやはり読んで(しつこいぞ)。
つうか、ホルモーって何やねん、という方は、重ねてながら、お読みください。
そして私に教えて下さい(おい)。あ、お読みになるなら是非『…六景』もあわせて。
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<本日の言葉>
「色即是空、空即是色」


ここからの流れの部分が一番心に残った。その難解きわまりない言葉とともに。