ホームベーカリー「釜やん」。

その昔、(白黒)テレビ・冷蔵庫・洗濯機が家電における「三種の神器」と呼ばれた。
人によっては、テレビの代わりに掃除機を入れることもあるらしい。テレビはどうかわからないが、
掃除機・冷蔵庫・洗濯機は女性を家事労働から解放し、社会進出を可能にした、というのはよくある議論だ。
前にも書いたと思うが、女性労働と洗濯機、という話を聞くといつも「ど根性ガエル」の最終回を思い出す。
シャツにプリントされ意思を持っていた蛙の話。てこれ、知らない人にどうやって説明すればいいのだ。
まあいいか。で、その蛙が、今までは「母ちゃん」によって桶と洗濯板で「手洗い」されていたのが、
ついに洗濯機が導入されることが決まる。それに向けて、振り回されたり叩かれたり、と様々な訓練を積み、
最後に「卒業試験」ということで船のスクリューにくくりつけられ… あとは内緒ね(ここまで言っといて)。
よく考えると、自分は「洗濯板」というものをあれで初めて見た気がする。時代は変遷し、というやつだ。
いや、今日は蛙の話ではなかった。とにかく昔、家電はライフスタイルそのものを根底から変えた、と。
時代がさらに進むと、今度は「3C」となる。すなわち、カラーテレビ・クーラー・車。
日本人はそれらの「アイテム」をひとつひとつ手にするたび、自らの「向上」を実感したという。
今はどうなんでしょ。一時期、デジカメ・薄型大型テレビ・DVDレコーダーを「新・三種の神器」と呼ぼうと
いう動きがあったらしいが。定着はいまいちだった。昔のように、持ってると持ってないとでは大違い、
というものは今あまりないのではないかな。あったらあったですごく便利やけど、なくても全然困らん、と。
で、その便利さの「ツボ」も人それぞれであるし… これも今という時代を象徴しとるんやろなあ。
そこを敢えて無理矢理、現在の三種の神器を挙げると、ルンバ・Ipad・ホームベーカリーてとこだろうか。
昔大学の授業で(珍しく出席した時)教授が、「自動掃除機が出来たら社会変革が起こる」とおっしゃってた。
果たして、どうなんだろ今後に注目したい。といって、うちで買うかどうかは、疑わしい。
ルンバを使うためには、まず使えるように掃除をせねばならぬ。そこがなかなか苦しいところだ。
Ipadも興味無いわけではないが、福岡に球団持ってるところの独占が気に食わない。お父さんに罪はないが。
実際、ようわからんねんけど、そうやねんねえ? 最後の一兵となるまで闘おうか、と意地になってる。
というわけで、私にとって今縁があり、今後とも縁が続きそうなのは、ホームベーカリーのみである。
ほ、やっとここまで話が行きついた。
ホームベーカリーも、購入時は「いるのか?」と悩んだのだが。いつだかのテレビで勝間和代氏がしゃべってた
言葉がきっかけとなった。価格を使用日数で割ってみろ、というのである。例えば3万円の家電を買うとする。
これも例えば10年使うとする。ざっくり3000日とすると、一日あたりで考えれば10円、ということになる。
もちろん材料費その他の経費は考えていないし、減価償却というのもあるし、そんなに単純ではないだろう。
ただまあ、10円やったらええんかなあ、という気になってしまった。あれ、これまんまと騙されてる?
勝間氏もたまには(あっ)いいことを言うものだ、と。
うちはパンを恐ろしく消費するし(二人で二日で一斤←多過ぎ?)、近くにいいパン屋が無くて困ってるし。
米粉パンも焼けるということで好都合。心は決まった。言うても結構前の話であるのだが。
三洋さんの「釜伸び職人」というのを使っている。「釜やん」と名付け、重宝している。
最初はいろいろ失敗して、洗濯糊のような物体やら、カルデラ式火山のようなものを作らせてしまっていたが。
慣れてくると、プロが焼いたようなものもできる(ヨメが、であるが。自分は失敗が多い)ようになってきた。
コストパフォーマンス的にはどうなんか、しっかり計算はしてないのだが、「釜やん」の働いている姿は
愛おしく思え、パンの焼けてくる香ばしい匂いを嗅ぐと、全てを許してしまう。
現代の三種の神器の条件としては、この種の「理屈を超えた愛着」というのがあるのではないか、と思う。
しかし、買った時はまだ「GOPAN」なるものが出来ることがわかる前だったので、やられた、と思った。
釜やんが昇天した後は、そっちに切り替えようぜ、と悪魔が囁く。
ごめん釜やん。浮気性の主人を許せ。