虹の向こうに・パラオ旅行記3。




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今回は、「パラオの海」の話である。
パラオには数多くの島があるが、殆どの施設および殆どの住人は、そのうちの一つ、
コロール島に集中している。このコロール島は、海に囲まれてはいるが、ビーチをはじめ、
遊べる海があまりない。ホテルによってはプライベート・ビーチを持ってるところもあるが、
我々は、ダウンタウン(言うても知れてる)のホテルを利用したので、それも期待できず。
本格的に海を楽しもうと思えば、南方の「ロックアイランド」の方まで少し遠出が必要。
それも個人では難しく。先日も書いたが、オプショナルツアーに参加するのが賢明だ。
自分らは、海、山、海と三回利用させて頂いたのであるが、皆考えることは一緒なのか。
或いは狭い島国ならではか。大手のツアー会社が限られていることもあるだろうけど。
意図せず、三日間ずーっと一緒になった人々がいた。最後は「またですか」と互いに苦笑。
今までの海外旅行では「一匹狼」を気取ってたため、こういう経験はなかったのであるが。
たまにはいいものだ、と思った。また、コンダクターの方が非常に面白かったのもよかった。
三日で二人の方にお世話になったのだが。いずれも「人を楽しませるプロ」だな、と感心した。
パラオと言えば、ダイビングのメッカ、と言ってもいいぐらいで。飛行機もダイバー臭で溢れていた。
今回も「体験」くらいはしようかな、とも思ったのだが。自分のどんくささを考えると、
命に関わる可能性もあるな、と思い直し。今回は諦めた。でも、潜らなくても充分楽しめる。
一日目はカヤック体験と、定番の「ミルキーウェイ」及び「ジェリーフィッシュレイク」を巡り。
「パラダイス」という場所でのシュノーケリングも秀逸だった。ただ、自分は近眼なのが残念だった。
色とりどりの、ぼーっとしたものがヒラヒラと見えたのみ。また本格的にレーシックを考えてしまう。
三日目は、思い切ってコンダクターに相談すると、なんと「度つき」の水中メガネがあるそう。
最初から言ってくれ… メガネかけてらっしゃいますが大丈夫ですか、と… とも思ったが。
しかし言ってみるものだ。与えられたリベンジの機会に感謝。これがまあ、非常によう見えた。
すみません。カメラを濡らしたくなかったので、シュノーケル関係の写真は全然ないのです。
(あれだけ気をつけといて、帰国後にカメラを洗濯してしまったのだから世話はない。)
文字で美しさを描写しようにも… いや書いても、すね男の自慢話にしかならんですが…
でも、二つだけ、自慢させてください(笑)
何回かシュノーケリングをした中でも、「ビッグ・ドロップオフ」という場所でのそれは凄かった。
お花畑のような珊瑚の浅瀬が、がくっと、600mの深海に下りていく、そういう場所だそうな。
足が立たない、という意味では2mも600mも一緒なのだろうが… 数字に圧倒され足がすくむ。
どこまでもどこまでも深い青、だ。そこに悠然と現れたのが、かのナポレオン・フィッシュ。
「メガネモチノウオ」という和名に、妙な親近感を覚え(私が、眼鏡でモチモチしてるから)、
今回の旅行での遭遇を待っていた。あっと思うも一瞬、青のカーテンの中に消えていった。
遭遇と言えば、もう一つ。船で「ジャーマン・チャネル」というところを進んでいたところ、
寡黙で、それまでほとんど声を聞かなかった、パラオ人船頭が大声で叫んだのだ。
「マンター! マンター!」
正味、よくわからなかったのだが。ステルス戦闘機のような、巨大な三角の影だけはわかった。
それも悠然と、ゆっくりと、船の横を通り過ぎていった。時間が止まったような気がした。
コンダクターが「みなさん、御自分がどれだけラッキーか、わかってらっしゃいますか?」と叫ぶ。
なるほど、豚に真珠、かもしれない。ただ、豚にも真珠の光は見えるはずである、と。
今日本にいて、コートの襟を立てて生活しているが、今まさにパラオには、あの青い海があって。
ナポレオンフィッシュやマンタがそこにはいるのだと。そう考えると、今の暮らしも違って見える。
しかしあれを、是非とも残して欲しい、守って欲しい。
いや、残さねば、守らねばならない、と。思いを新たに。