映画『ノルウェイの森』。

前にも書いたと思うが、自宅から近所のショッピングセンターの中に、
こぢんまりとした映画館がある。規模も設備も、昨今の「シネコン」には到底及ばないが。
時々、なかなか渋いなあ、という映画をやっているので、重宝している。
昨日月曜の休みは、少し時間が空いたので、ひとり再び訪れてみた。
今期の上映は『ヤマト』と『ノルウェイの森』だった。どっちもデンジャラスな香り(?)がする。
いやほんと、素晴らしい原作に慣れ親しんでいるものの映画化は難しいよ。当然ながら。
どっちにしようか少し迷ったが、前にヨメが、自分の持つ原作の世界観を壊したくないから、
映画『ノルウェイの森』は絶対観ない、と言ってたのを思い出した。それでは、と。
ヨメと観に来ることはないんだったら、今ひとりで観てもええかな、と。こちらを選んだ。
・・・・・
言いたいことは山ほどあるが、それは後に回すとして。先に。
全般的には。難しい作品によく挑んだ。やってみようとした。その勇気は買いたい。
また、主役の松山ケンイチの空気感はなかなかいい味を出していたようだし。
ヒロインの菊地凛子の迫真の演技は、卓越していた気がする。さすがは世界的女優、である。
映像も、カットの切り替わりで、う?となることはありつつも、美しい風景も楽しめた。
特に療養所や山の中の場面は。原作から離れ映像だけ観れば、そこそこ楽しめるのでは、とも。
以上、表向きの感想である。
じゃあ、裏側というと…
それはネタバレになるので、反転します。
ひたすらツッコミの連続ですので、そういうのが苦手な人は読まん方がいいかも。
まあ、ツッコミは愛。それをお分かりいただいた上で、是非。




原作のことを考えるととにかく、「志村バカ殿の尺八」が脳内に鳴り響くこと多し。
まあ、自分はそういうのも、嫌いではないのだが(笑) 具体的には…
やっぱ、最初は飛行機からやらないかんやろ。題名「ノルウェイの森」の意味が半減だよ。
「突撃隊」の扱いが不満。原作知らん人は、誰かよくわからんかも。「お前が出て行け」もなかった。
緑の父の扱いも。あれじゃただの「お見舞い」になる。あっこからのワタナベの問わず語りと
「切符・緑・頼む・上野駅…」は、自分の中ではこの作品のクライマックス。なくて残念。
緑の料理の場面も。「おいしい」かどうかはどうでもよく。あれは料理作るところが大事。
緑とのキスシーンも、火事のことはスルー。キスした理由がかわってしまうぞ。
同様に、レイコさんと結ばれるシーンも。「やりたかったからやった」。おおそうか。
いやまあ、ぶっちゃけるとそうなんやろけど。もっとこう、なんか神秘的なもんが欲しかった。
で、大事なとこをカットしているわりには、それ入れるか?てのも一杯あって。
それについてはもう、いちいち書くことはやめておく。
音楽については、主題歌はよかったが、おどろおどろしい不協和音がいただけなかった気がする。
映像については上に述べたように概ねよかったが、一部「火サス」?というところがあった。
以上、グダグダ述べてしまったが。
わかった。
監督さんと自分の中にある作品世界が違う、と。そういうことだ。
それを最初からわかってて観るべきである。それは頭では分かっていた。
「エンジョイ・ザ・ディファレンス」その心のゆとりを持って観るべきであり、
違いを見つけては咀嚼する。それが、この大作に挑んだ者に対する礼儀でもあろうかと。
その「礼儀」が1800円払ってまですることかどうかは、置いておいて、だ。
あ、繰り返しになるが、自分はそういう礼儀のツッコミ、嫌いではない。
フォローになってるかはわからんが。
支離滅裂で、自分の立ち位置がいまどこにあるのかもわからんくなったので、この辺で。
どうぞみなさんには、
「あなた、今どこにいるの」とツッコンで頂きたく。おあとがよろしいようで。
あれも違うんだよな… ああ、俺の緑が…(いつからお前の)