ドキュメント12.05ムーランかく闘えり。

6:30
自分には珍しく目覚まし無しで起床。緊張のせいだろか。さあ闘いの朝が明けた。
「緊張して寝られへん、言うてたわりにグウグウ寝てたで」とはヨメ談。おおそうか。
7:00
緊張すると何故か弁当が作りたくなる。俺は何をやっているのか、と思いつつ調理。
卵なし親子丼(それは親丼だ)&ピーマンのマリネ(ポン酢かけただけ)&ポテサラ。
「かぶら漬け」や「お豆」も配し、思わず豪華になる。つまみ食いを朝食とする。
8:00
電車の中でおもむろにIpodを取り出し、「第九」と「Jupiter」の最終チェック。
「私たちは誰もーー ひとりーじゃないーー」感動しつつ歌詞を口ずさむ。
しかし我々、そこは歌わないので無駄。(Ah− Ah−のバックコーラスのみ)
9:00
いよいよ決戦の地、大阪城公園に到着。

大阪城が出迎える。(嘘である。わざわざ寄り道して撮りに行った。)

そして大阪城ホール内へ。館内の写真撮影は御法度なので、すまないが写真はここまで。
(掟破りの人は一杯いた。それもなんだか。)
9:15
トイレで、義父からもらった蝶ネクタイを苦労しながら装着。初めてつけるもんで。
廊下でその義父と(変換一発目は「ギフト」だった)遭遇。お互いエールを交換。
なんか照れくさい。
9:40
全員着席後(結構時間超過)、席詰め開始。さながら、みんなでGOの民族大移動。
さすがに一万人の配置転換は大変。まったりと時間が流れる。次第に一万人が烏合化。
10:30
発声練習開始。自分の担当でなかった他の講師が「前説」的に面白おかしく指導。
それも緊張ほぐすにはいいかもだが、やっぱ自分の担当講師の理論的指導が自分は好みだ。
前日のリハからの無理がたたったか、喉の具合はいまいち。不安が募る。
10:45
始まったと思ったらもう休憩。Ipod聴きながら、お弁当。第九にも飽きたので(おい)
シャッフルをかけたら、葉加瀬太郎エトピリカ」(情熱大陸のエンディング)がかかる。
情熱の日々が、感動のうちに終わった気になる。ておい、まだ始まってもいないぞ。
11:30
第ニ部(第九)リハーサル。佐渡裕の入場で空気がぐっと締まる。
第一楽章から演奏開始。やはり第三楽章あたりで、自分はどうにも夢見心地になりがち。
本番では耐えねば。合唱部分では、途中であり得ない「大外し」した人が出てしまい、
その後グダグダに。本番でもし自分があれやってもたらどうしよう、と恐怖が走る。
「出だしの音取り」「高音部での粘り」「出るタイミング」自分の課題も残存。暗澹とする。
12:50
休憩。皆トイレに走る。去年観客としてきた時も思ったが、このホールはトイレが少ない。
(男子トイレが減らされることもある)いきおい、トイレが戦場と化す。頻尿の自分には地獄。
13:20
第一部(平原綾香)リハーサル。前日リハでは紹介のなかった「日本サッカーの歌」が。
(参考)http://www.youtube.com/watch?v=1u19BEdMP9A<注:音がでます!!>
この曲が自分は本当に大好きなので、嬉しいサプライズ。イントロで涙腺が既に緩む。
MC(小倉さん)が入り細部確認。リハって結構適当に流すんだな、という印象を特に強くした。
平原綾香に関しては、「Jupiter」はじめその他の持ち歌も素晴らしかったのではあるが。
この「一万人の第九」のために書き下ろしたという「Love Story」が最高だった。
佐渡裕から、第九第三楽章をベースに今回のため作って、と宿題が出ていたのだとか。
見事な答えであるよ。是非、アルバムに入れるのはもちろん、紅白とかでも歌って欲しい。
この時点でもう、ボロ泣きの私である。
14:00
開場。ヨメとヨメママ、実の父母をなんとか探し出し言葉を交わす。
自らわざわざ緊張を高め、涙腺を緩める行動だ。
15:00
第一部開始。リハではなかった、映像効果と充実したコメントと、ノリノリの佐渡に感動。
正直、あんなかいつまんだリハーサルで、ここまでのものができるんや、と感心しきり。
「日本サッカーの歌」「Jupiter」「Love Story」一回閉じた涙腺がまた開いてしまう。
16:00
休憩。観客の分だけ増えているので、この時間のトイレ戦争は半端なかった。
16:30
第二部開始。佐渡のタクトの凄み。「跳び」まで出る。(玄人に言わせるとあかんらしいが)
第二楽章で一回睡魔に襲われたが、なんとか追い払い。今度は第三楽章も起きていた。
平原綾香の「Love Story」で、脳の回路が変わった的な効果もあったかもしれない。
おどろおどろしくティンパニが響き、第四楽章が始まる。いよいよだ。心臓が高鳴る。
歓喜の旋律」が響くと、もうあと少し。そしてまた響くティンパニとともに、起立。
タイミングは上々だ。バリトンのソロが切り込む。続いて合唱第一声「フロイデ!」
リハ時の数倍は響く会場に、じーんと来る。音取りもなんとか、合格圏内だろうか。
あとはこの高音部、Bruder! Uber'm Sternenzelt! Muss ein lieber Vater wohnen!
(兄弟たちよ、この星空の上に、父なる神が住んでいるに違いない)
出て! お願い、声出て! 高音部出て!!! もう、祈るしかなかった。
亡くなった四人のじいちゃんばあちゃん!いやヨメのほうもあわせるともっとたくさん!
亡くなったあの先輩この先輩!亡くなった越智順子さん、神様!! 助けて!!!
この時冗談でなく、みんなが、そして神が降りてきた気がするのだ。そいうことにしよう。
出た! やった! みんなありがとう!
でもその瞬間から、あとは無事歌い終われれさえすれば… 守りに入った感がある。
膝は震えはじめ、緊張でぶっ倒れそうになりながら。なんとかノーミスで終了。
拍手の渦の中、溢れる涙とともに、夏からやれるだけのことをやった感動に浸った。
が、同時に。何をもってノーミスとするかは別問題だな、とも脳の片側で思った。
あそこができていない、ここをこうすればよかった、というところも沢山思い出した。
感動は感動として受け止め、反省点もふまえながら、次にいかしたい(またやるんか)
18:00
蛍の光
「心のはしをひとことに 幸くとばかり歌うなり」
皆様よいお年をお迎え下さい。ってまだひと月あるやん、って。
(おまけ)
12.06.20:14 義父からのメール
「… 次は始まってるで」
いやお義父さん。これまた、非常に厳しい。