もうひとつの甲子園2010。


明石城が決戦を見つめる。

閉会式。優勝旗は北の地へ。
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好評頂いている(何処で)「旅行記」はまだ続きますが。
少し中断させて頂き、本日は別のネタで。軟式高校野球の決勝戦、観戦記である。
もともと決勝が予定されていた日曜日が都合悪く、残念に思っていた。
今年は硬式も軟式も決勝観に行かれへんのなあ、雨降って日程ずれへんかなあ、、、
との淡い希望も、ご存知の通りの、折からの猛暑で絶望的…と思っていたところが。
準決勝の能代―中京戦が、延長十五回サスペンデッドとなり、日程がずれてしまった!
おお、こういう手があったか… これは神が観に行け、と言っているのか、と(笑)。
カードは新田高校対能代高校。能代高校と言えば、かの山田久志を輩出した名門校。
新田高校もかつては「ミラクル新田」と名を馳せた。ま、どっちも硬式の話ではあるが。
ともかく自分の関心を引くには十分であった。一も二もなく観戦を決めた。
実は先週、別件で明石を訪れたばかりだったので、なんか変な感じがしたが。
一週間に二回明石に行くとは思わなんだ。まあ、好きな町なので何度でもよいが。
で、意気揚々、スコアブックを引っさげて球場に到着。試合前ちまちまと準備記入し。
そして試合開始。スコアラー活動も開始(笑)。ところが、一回表の新田高校の攻撃が
ややこしいプレーの連続だったので、恥ずかしいことに、つけ方がわからなくなった!
振り逃げ→バントヒット?→犠打野選?→走者飛び出しタッチアウト→盗塁死)
やめたくなったが、やめたら「難しくてつけられなくなった」と周囲にばれ恥ずかしい。
どうすれば…と思っていたら、ここで信じられないことに、ざざあっとにわか雨になった。
雨じゃしゃあないのう、断腸の思いでスコアは諦めるか、と収納。まさに恵みの雨(笑)
その後は観戦に集中した(最初からそうすれば)。
毎度思うが、軟式は非常に面白い。変化球の「かかり」もいいのだろうし、ボールは飛ばない。
いきおい、非常にディフェンシブな展開となる。1点を巡る緊張感とめくるめく戦術。
大差続きだった今年の硬式高校野球(いわゆる甲子園)に、いささか食傷気味だったので、
なおさらに楽しいひと時となった。まさに、一瞬も気が抜けない。これぞ、野球だ。
新田高校の先制機は、能代レフトの一瞬のもたつきからもたらされたものであった。
ただその次の瞬間、能代捕手が外野からの返球を反らした時、次走者は自重した。あそこはGOだったか。
攻撃だけが攻めではない。守りも走りも、攻めである。軟式の場合は特にそうだろう。
新田としては、次のチャンスでの「ライトゴロ」が痛かった。これも能代「攻めの守備」の果実だろう。
8回の能代の同点機は、さらにしびれた。一死満塁からボテボテの内野ゴロ。ホームゲッツーか??
少し間があって、一塁塁審の手がさっと開いた。一瞬残念!という空気が新田内野陣に流れる。
そのわずかな間隙をぬい、脱兎の如く二塁走者が長躯ホームをつく!! セーフ!!
試合は終始、新田が押し気味だっただけに、ここにきての同点は大きかった。
惜しむらくは、能代投手が連投の疲れからかアップアップだったので、新田は再三無死で走者が出たが、
その度に二回バントで送り「二死三塁」にしていたことである。この手堅さが軟式ナラデハ、と思った。
しかし、これで相手投手を逆に楽にしてたんちゃうかなあ、と。一回表のまずい攻めが伏線だったかな。
最後の場面は一生忘れられないだろう。頑張って投げてきた能代投手が死球で一塁に出た。
次打者が初球を右中間に持っていって… 能代投手は巨体をゆすりながら、息もたえだえに走る走る!
「優勝だ!」と騒ぐスタンド。ほとんど転げるようにホームイン。それを歓喜のナインが囲む。
多くの人に感動を与える「夏の甲子園」もいいんだけど。
このこぢんまりとした明石の地で与えられる感動は、自分だけの感動、というオトク感がまたいい。
来年も好機に恵まれれば、是非観戦したい。軟式オタクムーラン、ここにあり、だ。
オタクのオトク感、とはよくできた話。しまった、駄洒落だ。
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<本日の言葉>
「ああ 甲子園 草の芽 萌え立ち
 駆け巡る風は 青春の息吹か
 今ありて 未来も扉を開く
 今ありて 時代も連なり始める」


いつの頃からか、軟式には毎日さんがカンでいるらしく、
整備の時とか閉会式の時には、春のセンバツの歌「今ありて」が流れていた。
前は夏の甲子園と同じく、「栄冠は君に輝く」だった気がするんだが。
灼熱の中で聞く「今ありて」は非常に違和感があった。季節感もそうだが、
「ああ甲子園…」がねえ。いくら「もうひとつの甲子園」とは言いながら。