高校野球の原点。


水浸しのグラウンド。

敵味方関係者入り乱れての整備。

ボランティア少年、椅子を拭くの図。

なんとか試合再開。よかったよかった。
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というわけで(どういうわけですか)、野球に切り替えることにした。
相変わらずの切り替えの速さ。そして方向性の問題、ということもある。
それはともかく。
富士の高嶺の下には、広い広い裾野がある。裾野こそ富士の美しさである。
月曜の休みを利用して、夏の高校野球・兵庫大会の1回戦を観に行った。
場所は、尼崎記念公園野球場であった。JR尼崎駅から1kmほどの徒歩。
Jリーグ・セレッソ大阪のサポーターにとっては聖地と言ってもいい場所、
尼崎記念公園陸上競技場の隣である。自分もナマで目にした、J昇格のかかった
かの尼崎の激闘についても語りたいことは沢山あるが、それはまたの機会に譲る。
月曜は雨の影響で予定が変更となり、昼から一試合が行われるのみとなった。
柏原(かいばら)―伊丹北、のカードであった。両校に私は何のゆかりもない。
センバツに出たこともある丹波の雄、柏原。
あの、西武・中島裕之を輩出した、伊丹北
名が通っていないこともない両校だが(私の中では)、失礼ながら地味なカード。
早朝のW杯観戦がたたり、寝とぼけていたのと、やる気も正直あまりなく。
すっかり出遅れてしまった。球場に着いた時は、すでに5回であった。
スタンドを見渡すと、一塁側、三塁側にはそれぞれ両校の応援団と家族が陣取る。
ネット裏では、両校といずれ対戦するであろう高校の生徒がスコアつけるの図。
漫画『おおきく振りかぶって』さながらの光景である。(←最近ハマる)

おおきく振りかぶって (1)

おおきく振りかぶって (1)

あるいは、名刺交換をスタンドで始める、野球関係者と思しき謎の大人たち。
他は、平日の昼間に球場で一体何をしているのか、と疑わしきオッサンがちらほら。
あ、それには私も当然含まれてしまいますが。
1−1同点の試合は次第に熱をおびてきて。先攻の柏原が相手の暴投で勝ち越しすれば。
その後の追加点を伊丹北が好返球で阻止。終盤に向け、好試合の期待が高まった。
その期待に文字通り水を差すように。土砂降りの雨が降ってきた。8回表開始時に中断。
グラウンドはみるみる水浸しとなった。これは続行、やばいんちゃうかなあ… と心配。
高校野球はサスペンデッドがないらしいし、続行不能ならここでコールドゲームとなるのか。
あと二回の攻守。たかが二回だが、されど練習に耐えてきた部員にとっては貴重な二回だ。
特に負けている伊丹北がかわいそうだ。やらせてあげたいなあ、、と祈る気持ちで待った。
印象的だったのは、小止みになってきた時、むしろリードしている柏原の選手の方が
率先してベンチ前で素振りやキャッチボールをしていたことだ。ヨコシマな自分ならば、
雨もっと降れ、コールドコールド!と思いそうなもんだが。尊敬すべき姿勢である。
祈りが通じたか、雨はほとんど止んだ、が。グラウンドはまさに田んぼのようであった。
これは駄目やろう、と思っていたら、球場係員に両校部員に、ボランティアの生徒が総出となり、
スポンジや雑巾片手に、水取りをはじめた。水取りと平行して、一輪車で土を入れたり、
トンボで凸凹をならしたり、と。残り二回を実現させようとこれだけの人がひとつになってる。
ちょっとうるっときた。できることなら、自分も中に入って手伝いたいような気になった。
大昔、自分も野球部にいた時、雨上がりのグラウンドの水取りをやってたなあ、と思い出した。
あれは練習の時だったけど。怠惰な自分は、練習再開が嫌だったので、作業をわざと遅らせてたな。
そんなグラウンドでの必死の作業と平行して、スタンドではボランティアの生徒が椅子を拭いていた。
近くに一人が来たとき、「ありがとうなあ、えらいなあ、ほんま感動してる」と声かけてしまった。
その子は、「えへへ」と笑った。中断は、何とも、心温まる濃密な時間を与えてくれた。
再開後は、両校が、特に伊丹北の方がリズムを崩したのか、やや一方的となってしまったが。
丹北最後の攻撃、二死から代打で出てきた子がヒットを打った時は、ほんまぐっときた。
この子はこの一本のヒットを打つために何回バット振ったんやろう、と想像するにつけ、だ。
4000校くらい参加する高校野球、少なくとも4000個のドラマがそこにはある。
そのドラマを求めて、また球場に行くぞ。またオタク度が増したぞ。おおそうか。
こいうふうに、やたら青春ドラマを求めてしまうのは、自分にできなかったことを追体験したいから、
なんだろな。球児諸君よ、若き血は若いうちに昇華ささんと。オタクオヤジになるぞ。
ましかし、それもそれで、楽しかったりするぞ(笑)
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<本日のおまけ>
帰りにJR尼崎駅前のCOCOE(ココエ)に寄った。
なんじゃそのネーミングは、と正直軽んじていたが。なかなか侮れんぞ。