ときめき・ふたりハイク2010[2]。

桜満開、のニュースに誘われ。
ヨメを差し置き、弁当男子の本領発揮で弁当を作り、花見ウォークとしゃれこんだ。
行き先は、武田尾。水上勉氏の小説『櫻守』ゆかりの「桜の園」が目当てだった。
途中車窓には満開のソメイヨシノが広がり、テンションは上がる。が、着いてみると。
あら、桜の「木」がいっぱい、という感じだった。想像力を働かせ、ヴァーチャル花見だ。
仕方がないので、予定はしていなかったのだが、山歩きに切り替え少し高台に上がり、
赤松林の中でお弁当に。そしてビール。おお、緑が目に心地よいね。また、食事中、
蜥蜴りん(漢字で書くと怖い)二匹の訪問を受ける。ま、これはこれで楽し。
下山後、少し物足りなさを感じたゆえ、これも予定はしていなかったのだが、
生瀬までの「廃線ウォーク」を敢行。御存知の方も多いと思うが、
ここ旧福知山線廃線跡は、人気のハイクコースである。武庫川の美しい渓谷美とともに、
鉄橋やトンネルが連続するコースはさながら、リアルで『スタンド・バイ・ミー』である。
ただ、ここはおおっぴらに公開されているわけではない。管理者のJR西日本により、
「事故等の責任は一切持ちません」という看板が立ち並んでいる禁断の地である。
だからここでもひっそりと紹介するにとどめる。空気を読んで写真も撮らず。
思えばここは昔、ヨメと初めてハイキングに来た場所である、とは私の説。
ヨメはそうかなあ、そうだったかなあ、覚えてないわ、だって。むむう。
そういう自分も、それがいつのことだか思い出せない。まあ、ディテールは忘れて
しまうぐらい、それだけ多くの歴史を二人で積み上げてきた、ということなのだろう。
前回来た時は生瀬→武田尾であったから、今回は「逆打ち」となることになる。
逆方向から見ると、渓谷が違った角度から見えて、より美しい気がした。(覚えてないくせに)
廃線ウォークの予定がなかったので、ライトの用意がなく、トンネルでは携帯電話の光を頼った。
闇でこそわかる、光のありがたさよ。しつこいが、脳内BGMはやはり、これだった。
*****
When the night has come
And the land is dark
And the moon is the only light we see
No, I won't be afraid
Oh, I won't be afraid
Just as long as you stand
stand by me,
So darling, darling ...
*****
歩きつかれてしんどくなったころ、渓谷の対岸に素晴らしい景色が広がった。
満開の、一本の山桜が出迎えてくれた。これには涙が出るほど感動した。
なんかこう、自分らが来るのを待っててくれたんだ、ていうのか。
ソメイヨシノの大群もそれは美しいのだが、こういう花見もあっていいんじゃないか。
*****
この素晴らしい峡谷に、ダム計画があるそうだ。
昨今のダム中止ブームと、反対派の市長のお陰で、いまのところは事なきを得ているが。
また政権が変わったら、或いは推進派の市長が次に来たら、またどうなるかわからない。
百歩譲ってそのダムが必要だとしても、この美しい峡谷を「ダム予定地」としか見れない
その心が、あまりにも悲しい。
ダム、いらんやん。ま、欲しがっている人がいるんだろうがねえ…