がんばれ説子さん。

愛車、ライラック号、いや玉虫号、いや松本コンティーダ… まあ何でもいいわ。
とにかく愛車は快調である。先日は寝屋川の成田山不動尊に交通安全祈祷に行った。
初めての訪問であったが。当山のドライブスルーハイテク寺社ぶりには舌を巻いた。
またロック調の祈祷には少々しびれた。XJAPANと見まごうばかりのドラムテクだ。
あまり書くとバチがあたりそうなのでいい加減にしておくが。道中も楽しかった。
とにかく、全く疲れない。いくらでも運転できる。また遠出したいな、と心新た。
そして道中大活躍したのが、初体験のカーナビゲーション・システムである。
元来私は地図オタク道路オタクであるがゆえ(どんなオタクだ)、ナビは使わんぞ!
俺の方が地図と道路を知ってるぞ!人間の尊厳! という矜持があるつもりだった。
ただ、「今ならカーナビを無料サービスします」、とのディーラーさんのヤケクソな
投げ売りにコロリと転んでしまった。使ってみると、これがなかなかに面白い。
その女性の声は一生懸命に説明し、尽くしてくれるので、愛おしくも思えてきた。
女性にこんなに優しくしてもらえる、というのは近年にない感覚であった。(こら)
その献身的説明ぶりに敬意を表し、「説子さん」と名づけることとした。
ただその特売でやって来た説子さんとの蜜月期は過ぎ、早くも倦怠期に入りつつある。
とにかく口うるさいのである。「今日も安全運転で行きましょう」と励ますや、
いきなり「ETCカードが挿入されていません!」と来る。うるさい。今日はいらんねん。
「この先渋滞しています」「車上狙い多発地域です」との注意も、どうしても、
じゃあ、どないせえちゅうねん、とツッコミたくなる。ナビ狙い犯罪が多いらしいが、
この説子さん、いざ盗まれる時には無言なんやな、と思うと笑い事ではないのだが
笑ってしまう。或いは「盗まないで下さい」とか「あれー盗まれるー」とか
叫ぶ機能がついているやもしれんが。(わけはない)
また説子さんは少々しつこい。少し指示に逆らうとしばらく「しーーん」と
沈思黙考するや、いきなり「その先右方向です」「右方向です」「300m先右方向です」
とまくしたて、ヒステリックにイニシアティブをとろうとする。
この辺失礼だがいかにも女性らしいような気がする。そんな一般化は怒られそうだが。
そして、説子さん、どうも「立体に弱い」気がする。高架道路を走っていると、
どう考えてもこれ、下の道の看板よな、という看板を表示させるし。
一度、「その先左方向です」言われるも道がなく驚いたところ、はるか頭上を
高架道路が横切っていた。なるほど。空飛べ、いうことか。
女性は男性に比べ空間把握能力が低いというのは言い古された議論であるが。
そこまで現実に忠実に作らんでもええんではないか、と。
言うても、設定変更をすればこういう事態も解消するかも知れん。不勉強である。
とにかく相手のことをよく知り、その理解に従った対処をすること。
また、頼りすぎてもいけないし、反発しすぎるのもいけない。距離感が大事だ。
そして、眺めすぎていると、思わぬ事故につながるかもしれぬ。
説子さんの説明するものは、実は男女の機微なのかもしれない。
地図よりも、そっちの方をむしろナビしてもらわんといかんかも。おおそうか。
*****
<本日の川柳>
「ナビ時代 助手席は遠く なりにけり」 字あまり
                  夢乱