加賀百万石珍道中最終回・「究極のグルメ」。

二日目の金沢は、素晴らしい好天に恵まれた。
昨晩にライトアップに訪れた兼六園であるが、記憶では、
昼間は昼間で違った趣があったはず、と思い出し。再訪。

まずは蓮根まんじゅうにふらふらっと。やはり食い気が先に。

日本三大庭園は、兼六園、後楽園、甲子園であるとか(お約束)。
その兼六園のシンボルともいえる「ことじ燈篭」が、これである。
パンフレットやガイドブックから地図、道路標識に至るまで、
兼六園」と言うと必ずこれが描かれていると言ってもよい。
行って見た第一印象は、「ふつうにちっこい燈篭じゃん」である。
ガイドブック等の描き方からして、巨大燈篭を想像していたが…
まわりの観光客も、「これってこと?」と残念そうな声をあげ。
しかし、ガイドのお姉さんの説明を盗み聞きすると、この燈篭、
非常に珍しい「二本足」の燈篭であるらしい。おお、言われてみれば。
そう考えてみると、素晴らしい庭園美に、二本足という不安定さが、
なんとも幽玄というか、幻想的な雰囲気を加えている気がする。
少しのことにも、先達はあらまほしきなり、である。痛感。

有名な「雪つり」。雪の頃はまた全然違った光景が楽しめるのだろう。
その後、金沢城を通り抜け、昨日前だけ通った尾山神社に参拝。
利家とまつ」にあやかりたいものだ。夫婦円満もそうなんだが。
まつの胆力と、前田利家のとことんNo.2に徹する技、にである。
*****
そこで事件はおこった。当初、後の「ひがし茶屋街」で昼食にするはず
であったが、尾山神社の隣に「味噌汁BAR」という看板が上がっているのに
興味を引かれ、何となく入ってしまった。入った瞬間「すみません」という
感じになった。盆と正月とクリスマスがいっぺんに来たような店内には、
来るものを圧倒するような、なんともいえぬ瘴気が漂っていた。
マスターはこちらが注文するスキも与えず、おしぼり(雑巾?)を水道で
ざぶざぶ洗って我々に手渡し。さらに古い冷蔵庫から次々おかずを取り出し、
時々つまみ食いをしていた。そして味噌汁。奥でぐつぐつ煮えたぎる鍋は、
魔女の薬を思わせた。マスターがオタマから直で味見しているのを目撃。
すっかり意気をくじかれてしまったが、負けてなるか、と死ぬ気で箸をつけた。
ところがなんと、これが意に反し、非常にうまかったんである。
特に、刺身なんぞ、昨日の海鮮丼より(比較してすまんが)はるかにうまかった。
見かけで判断してはいけない。好例である。しかし見かけもまた本質である。
尾山神社・味噌汁BAR。究極のグルメにあなたは耐えられるか。
素人にすすめられない。(怖くて写真は撮れず)

その後、ひがし茶屋街を散策。素晴らしい古都の町並みを堪能。
(写真参照ください=真ん中のオッサンが邪魔)

ここは「先達」に頼ることにし、ガイドさんに説明してもらいつつ周る。
軒下の「とうもろこし」が面白かった。商売繁盛、家族繁栄を願って
「とうもろこし」を飾る風習があるらしい。観察力ゼロの自分ならば、
絶対に気づかなかっただろう。

好物の「ますの寿司」をほおばりながら帰路。
金沢名物ではないのだけれど。北陸つながりってことで。
この「ますの寿司」をいかに効率的に食べるかは、食べ終わったあとの
食器をどうするか、という問題とともに、いつも悩む。
頭も胃袋もすっかり満たされたこのツアー、
帰ってみれば3キロも体重が増えていましたとさ。明日から走って通勤だ。