『1Q84』への道。

先日最寄のデパートを通ったら、「おせち料理」の予約コーナーが賑わっていた。
まだ3ヶ月もあるやん…、年々早くなるのう…、と暢気な自分は思ってしまうが。
世の中には「もう3ヶ月しか…」と考える方々も多いようで。あるいは、
バーゲンとクリスマスの間の端境期を埋めたいというデパートの思惑か。
それはともかく。まだ3ヶ月もあるのに2009年をまとめるのも早い気がするが。
そこを敢えて、の話だが。自分にとっての2009年とは、と問われると。
村上春樹にはまった年」という答えがひとつとなりそうである。
といって、今年売り切れ続出、で話題となった『1Q84』は読んでいない。
私は根がひねくれているので、流行ってるものを流行の時期に読んだら、
いかにも流行に乗っているようで悔しいんである。また、それまでの村上氏の
作品をあまり読んでもいないのに、最新のだけ読む、というのも違うのではと。
氏のほかの作品を死ぬほど熟読して、「しゃあないのう、じゃあ流行ってるやつも
読んだってもいいか」という状態になってから読みたいんである。
まあ端的に言うと、変態である。
幸い、ヨメは自他ともに認めるハルキストであり、そして村上氏と浅からぬ
縁もあるのである。ここでは書けないが。(←大したことではない)
うちの本棚には、氏の作品があらかたそろっている。
風の歌を聴け』と『羊をめぐる冒険』は読んだことがあったので、その後から
順番に概ね忠実に、読み進めている。先日『ねじまき鳥クロニクル』まで読了した。
今は『海辺のカフカ』がカバンに入っている。
前にも書いたかもなんであるが、村上春樹には食わず嫌いをしてしまっていた。
ジャズにバーにブルージーンズにテニスシューズに、という村上春樹の表層世界に
「なーにー」っとなっていたこと。男は黙って、雪駄、だろ?てな感じで。
また『ノルウェイの森』があまりにも流行りすぎていたこと。昔は若気の至りで
今以上に「流行嫌い」を気取っていたので。今ではミーハーになりつつもあるのに。
それが今では、本を開きまた村上ワールドに戻る、というのにワクワクしてきている。
ま、ひとことで言うと、はまってしまったのだ。ここにまた新たなハルキスト
(という言い方は好きではないが)が誕生してしまったのである。
やれやれ。
といって、全部、「読み込んでいる」わけではないので、書評するのは気が引ける。
他に目いっぱい語ってらっしゃる方が大勢いるだろうから。そちらに譲るとして。
ここでは、各々の中で非常に印象に残ったフレーズを挙げるに留める。
(一部ネタバレ注意)
*****

羊をめぐる冒険(下) (講談社文庫)

羊をめぐる冒険(下) (講談社文庫)

「キー・ポイントは弱さなんだ… 全てはそこから始まってるんだ。
 きっとその弱さを君は理解できないよ。」
*****
1973年のピンボール (講談社文庫)

1973年のピンボール (講談社文庫)

「僕たちが共有しているものは、ずっと昔に死んでしまった時間の断片に
 すぎなかった。それでもその暖い想いの幾らかは、古い光のように
 僕の心の中を今も彷徨いつづけていた。」
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ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

「死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。」
*****
ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)

ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)

「だから足を停めちゃいけない。どれだけ馬鹿馬鹿しく思えても、
 そんなこと気にしちゃいけない。きちんとステップを踏んで躍り続けるんだよ。」
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ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)

ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)

「死んでこそ 浮かぶ瀬もあれ ノモンハン
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こうして並べてみると、自分の思考の傾向がわかってくるなあ。
人間、読みたいように読むということか。まだまだ修行が足りんな。
他も読み、以上も再び読み込んで、また違った思考を発見してゆきたいな。
その頃には、『1Q84』の文庫本も出ているだろう。
とりあえず『1Q84』と聞くと、阪急―広島、福原みねお、長嶋、と即答している
今の思考傾向のままではいかんな。
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風の歌を聴け (講談社文庫)

風の歌を聴け (講談社文庫)

フレーズをチェックするために本棚を見たんだが、これが、あらへんわ。
ヨメが持っていったんだろう。とことん、好きなんやなあ。