日本一の球場。



週二度の休みを二度とも野球でつぶす自分にあきれ返りつつも。
これは異文化体験だ。異文化を扱う職業に携わる者として、必須事項だ。
また、日光を浴びてメラトニンを合成しまくり、健康を増進するのだ。
ゆえに非常にこれは有意義な活動なのだ、とエクスキューズ。
ともかく、ヨメのいない休日の過ごし方に困った上の苦肉の策だった。
野球観ようにも阪神はアウェイに出ている。サッカーも贔屓の試合がない。
新聞でオリックス×横浜があるとわかったが、前にも書いたと思うが、
大阪ドームが嫌いな私は新聞を閉じかけた。が、ちょいまち!と再び開いた。
会場はGS神戸ではないか!(スカイマークとは意地でも書かない)
気持ちは西方にぐらりと傾いた。これも前書いたと思うが、日本全ての球場に
行ったわけではないけれども、密かにこの球場が日本一美しいだろうと思っている。
最近はプロ野球試合が減ってしまって残念だが、その少ない機会がそこに。
日本一の球場で繰り広げられる、最下位対決、というのもオツなものではないか(笑)
いや笑っている場合ではなく、悲しいかな現在横浜は言わば「眼下の敵」である。
打倒読売!と言える資格もなく、すっかり「振り向けばヨコハマ」であるゆえ。
(このネタ前使ったな) 敵情視察の意味もあった。
おお、抜け駆けして悪かったが、突然思い立ったことと、そう気安くお呼び立てすると、
貴君の家庭生活に大いなる支障を来たすと思い声はかけなかった。ごめんしてね。
そんな誰に話してんだか、という話はさておき。電車に長時間揺られる。
途中六甲山の緑が眩しい。自然、テンションは上がってくる。
勇躍球場に至る。内野の上席チケットを並ばずゲット。この辺がオタク的に嬉しいところ。
しかし場内は意に反し、まあまあの盛況。混雑の一塁側を避け、三塁側に陣取る。
こう、何の縛りもなく、客観的に野球を見ることの幸せを噛み締める。そしてこの眺め!
阪神園芸、ここでもやはり最強である。いや内野まで緑が溢れているここはむしろ
あそこ(何処)を凌いでいると個人的には思っている。つくづく、もっと試合してほしいなあ。
そして横浜ファンの中に混じっての観戦、というのは異国に来たような感覚であった。
ともするとスパイ的なゾクゾク感も楽しめた。しかし、なんか妙な雰囲気であった。
GS神戸はネットがほとんどなく、選手と観客の距離がすごく近いような気がする。
子供はグラブ持参で、攻守交替のときは選手(多くの場合は一塁手の佐伯)にボールをねだる。
それは微笑ましい光景であるが。その子供に混じって、筆者と同世代か或いは少し上のオサーンが
何人か、子供を押しのけてボールをとろうとしていた。そのうち一人は筆者の隣の席の奴だった。
子供のために取ろうとしているのか、というと、こやつ明らかに一人で来ていて、なんかぶつくさ
言ってるんで、自分のために必死だったのだろう。ファウルが近くに来た時、筆者の背中も強烈に
押しのけられた。他にも、大音声で横浜選手の応援歌を歌うオサーンとか(おかげで少し覚えた)
すごくすごくdiscouragingな野次をとばすオサーンもいたりして。微妙にどんびきだった。
野次も笑いのセンスのあるものならアリだとおもうのだが。「ひっこめー」「やめろー」レベルの
ただ大きな音というだけで何も面白くない。全く、どいつも同じオタクとして複雑である。
しかしハタから見れば、グラブ親父と筆者はおそらくツレとか思われてそうである。ううむ。
一方後方には、かなりレベルの高いオサーンもいたりして、その話には聞き入ってしまった。
(レベルて何や)一回、高レベル親父は野次親父の「やめてまえー」に「ほんならお前がかわれー」、
と応戦していた。筆者も含め周り爆笑。オッサンええぞー、と心の中で皆が応援。
しかし自分も同様のツッコミされるようなことを常日頃言うてるなあ、と反省するものである。
試合は不死鳥の如く蘇ったエース、平野佳のためにあったようなものだった。とにかくキレてた。
先週テレビで桑田氏が褒めちぎっていたのも頷ける。それ以外には見どころも少なかったが、
さすがに3−0の9回一二塁、バッター村田、というところは手に汗を握った。
平野佳でなければ、久しぶりの完封ということでなければ、ここは必ずリリーフだったろう。
明らかに球は来なくなってきている。この温情采配がどうでるか。ここから先は詩にしてみた。
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彼は目を閉じて 青い芝生のにおい 深く吸った
長くない投手戦 しめくくる打球は フェンス手前で失速した
肩を落として 土をはらった
緩やかな 初夏の日の黄昏に
×××
なにをー ゴールにきめてー (もおええやろ偽ユー○ン)
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お見事平野、136球の復活完封。そして打ちも打ったり、村田。あとひとのび足りなかった。
思わず、スコアボード上の旗を見てしまった。だらり垂れ下がっていた。ついてなかったな。
この素晴らしい勝負に大満足で帰る途上、なんか人だかりがするので行ってみると、
怒り狂った横浜ファンが「役立たず!」と、横浜選手を乗せたバスに向かってキレてた。
あんなに面白かったではないか、小林とか結構頑張って投げてたのにどうして・・・
と一瞬心が曇るも。むむ。恋は盲目。これぞならぬ恋の果て。
あんなに怒ってる人久しぶりにみた。自分も違う相手に対して、こうなってはいないか。
自分を客観的に見る機会としても、やはり非常に有意義な一日であった。
いやまほんまに客観的に見ると、「ヒマかい野球オタク」て結論になってしまうのだが。
蛇足、神戸に来るといろいろ思い出して、ちょっとセンチ入ってしまうのだが。
まそれは別の話で。数多くの客観視できない過去のひとつであるな。
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<本日の言葉>
But love is blind, and lovers cannot see
the pretty follies that themselves commit.
Shakespear