無功徳/The Best Job in the World。

昔中国は梁という国の王様が、達磨さんこと達磨大師にこう問うたそうな。
「朕は今まで、寺も建て写経もし僧も援助し、仏教に非常に貢献した。
 この先見返りでどんないいこと(功徳)があるんだ?」
達磨さんはころんだ、じゃなくって答えた。
「ないよ」
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「無功徳」。
非常に理解を超えた概念である。またいろいろな解釈もあろう。
貢献した、て何を威張って言ってるんだ。そんな些細なことで、というのがひとつ。
功徳を求めているようならば、行動には何も意味がない、というのもひとつ。
また、それだけ貢献ができる身になっているということで、既に功徳があるじゃないか。
というのもあろう。が、ほんとのところの意味は、複雑すぎてよくわからない。
いずれにせよ、常人にはなかなか至れない境地である。
「無功徳の徳こそ真の徳」みたいな言葉もどこかで耳に挟んだ気がするが。
なんかありがたい気がするが判然としない。真の徳を求めている時点で無功徳じゃない気も。
ともかく、そこ―無功徳―にこそ全てを超越した真理があるよな気もする。
こういうことを考える機会を与えられているという意味こそ、真の意味なのかもしれない。
仕事や人間関係でいらいらっときた時は、「無功徳無功徳…」と唱えることにしている。
ま、それにしてもおさまらないときはあるが。にんげんだもの。みつを。(誰)
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先日、「The Best Job in the World」という企画が耳目を引いた。豪州のナントカという
さんご礁の島で半年間観光大使を務める。業務内容は、ダイビング三昧とブログの更新のみ。
報酬は1000万円!みたいな。その職を巡っての「就活」バトルはショーアップされ、
大いなる話題づくりとなっていた。日本人女性もいいとこまで行ったと報道されていた。
カリブ海の島を生活拠点にするにはどうしたらいいかを真面目に考えている私としては、
なかなか聞き捨てられない話であったが。それとは別に、考えさせられることがあった。
「The Best Job」て何なんだろうか、と。そこまでいかんでも「Better Job」「Good Job」て、
何なんだろうか、と。陽光溢れる島でダイビング、1000万、たしかにうらやましすぎる話だ。
しかしなあ。完全にSour Grapeなのかもしんないけど。
この仕事では、「学び」があるんだろか。「無功徳の徳を積む…」とか「給料は我慢料…」とか
「サラリーマン道と云ふは死ぬことと見つけたり…」とか思うこともないんだろうと思うが。
また、ビーチサイドでカクテル、もいいんだろけど。仕事の後噛み締めながら飲むビールの味は
絶対に味わえないんだろうな。さんご礁での天国のような仕事と、いろいろ得るものがある
いわゆる現実の仕事。どっちがいい仕事か。それは答えは簡単である。
やっぱりさんご礁だな(おい)。
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<本日の言葉>
The only way to keep your health is
to eat what you don't want,
drink what you don't like
and do what you'd rather not.

Mark Twain