能勢妙見山。

以下は実は先週の話ではあるが。陽気に誘われ、ハイキングに行ってきた。
今期の「開幕戦」ということもあり、始めからきついのは避け、ご近所でぬるく、と。
学校の遠足やら、参詣やら、仲間うちのイベントやら、デートやらで、何かと身近な妙見山
ちょっと甘酸っぱい思いやら、ちょっと生温かい思いやら、様々、去来したものであるが。
ケーブル・リフト、或いは自動車道が完備されているこの山。自分の足で上がったのは始めてだった。
またそれはそれで新鮮であった。桜にも新緑にもちと早かったが、いいリフレッシュとなった。
ところで、この妙見山は、言わずと知れた霊山であり、頂上には知る人ぞ知る妙見寺がある。
ここは、お寺でありながら十字架の紋章があったり(実は矢を組み合わせた、能勢氏の家紋らしい)
或いは、馬の銅像があったり、鳥居があったり、と宗教的に非常に面白い場所である。
また、独創的なデザインの「星嶺」という建物には、目をしばし止めてしまう。
「星」の文字が入っているのは、北辰(=北極星および北斗七星)信仰に通じるらしい。
今をときめく天地人(あまり視聴率伸びてないらしいが)にもあったような話。タイムリーである。
また関係の有無はわからないが、近くの中山寺には「星くだり」という風習があったり。
星とともに生きていた古代人の生活がしのばれる。或いは人間は星からやってきたのか。とも。
んなあほな。
また、かの坂田三吉が「能勢の妙見さん頼んまっせ」と祈ったように、勝負祈願も受け付け可能だ。
実はうちのオカンは定期的に妙見山を訪れ、家族のいろんなことを願掛けてるらしいのだ。
みんなの一回一回の勝負は勝ったり負けたりなのではあるが、まあ、トータルで見れば、みんな
なんとなくなんとかなってるということからすれば、なんとなくご利益はあるのかもしれない。
また、妙見、というその響きから、花柳界や芸能界からも信仰を集めているらしい。
とまあ、何かと思い出深く、何かと縁のあるこの場所。なんとなく引き付けられるのは何故かな、と。
いろいろ調べてみれば、面白かった。何にでも、誰にでも歴史とドラマはあるもんだねえ。
以下は、主に能勢妙見山のHPを参照した。
*****
能勢氏は、源氏の祖・源満仲大江山の鬼退治で有名な源頼光など清和源氏の流れを組む名門であった。
能勢頼通の時、織田信長が上洛。それに伴い、信長軍は能勢氏に対し、我等に従えと迫った。
しかし足利将軍に忠誠を誓っている以上それはできぬ、と頼通は拒否。怒れる信長軍は、能勢氏の隣に
所領を持つ山下城主塩川氏をして能勢氏に攻撃せしめる。その過程で頼通は謀殺さる。
能勢氏は頼通の弟、頼次を代わりに戴き奮闘するも虚しく、居城丸山城は落城。今の妙見山に逃れる。
さらにそこに本能寺の変が起こる。臥薪嘗胆、時を待った能勢氏は、隣の亀山(亀岡)城主明智光秀に加勢。
秀吉軍に激しく抵抗する。がご存知のように明智軍は大敗北。ここは花と散ろう、という頼次ではあったが、
家臣に止められ、泣く泣く備前岡山へと落ち延び、歴史の舞台から消えた…  と見えたが…
頼次は、能勢家の寄進地である日蓮宗妙勝寺に身を寄せ、三宅助十郎と名を替え、読経の日々を送る。
秀吉も既にこの世の人でなく、天下は次第に徳川家康のものになろうとしていた時であった。
同じく日蓮宗の、京・実相寺は頼次の弟が住職をしていた。そこでたまたま家康が休憩をした。その縁で、
頼次は家康に召抱えられることとなり、関ヶ原の合戦には東軍として参戦。大勝利に大いに貢献する。
そしてその功を認められた頼次は、懐かしき故郷・能勢の所領を与えられ、ついに能勢家再興成る!
めでたしめでたし、というわけだが。ここまでならありふれた成功譚であるが、ここからが面白く。
読経のお陰でお家再興が成ったことに感謝した頼次は、日蓮宗にさらに傾倒し。
妙見大菩薩をして能勢家の守護神となし、それを祀るために、今の妙見山を開いたのだとか。
その後能勢頼直の代には、江戸は墨田に下屋敷を賜り、そこに妙見大菩薩の分体を祀った。
それが今の東京・妙見別院であり、全国的には今はこちらの方が有名かもしれない。
数々の江戸っ子の信仰を集めた妙見別院。その中には、かの幕末の英傑・勝海舟がいた…
彼の活躍を、天の能勢頼次はどう見たのであろうか…
*****
どうでしょう、下手な大河ドラマより面白いものができそうな気がしますがね(笑)
何なら脚本書きまっせ、国営放送さん、と売り込みなど。ああ、宗教がからむから、いろいろ難しい?
その後はやはり、あの(どの?)妙見山クッキングセンターでBBQ。腹が減っては戦ができぬ。
野山の中で、煙にいぶされるのは、快感ですね。気分はまさにボンレスハム(形もな)。
歴史に感動し、自然に感動し、おなかも満ち足りたこの日。
丁度その頃、隣国が行った愚行。なんとも、妙なコントラストではある。てうまくまとめたつもりか。
しかしなんで、「妙」っていい意味と悪い意味があるのかね。
*****
<本日の言葉>
「もろともに あはれと思へ 山桜
 花よりほかに 知る人もなし」
                前大僧正行尊

山桜かどうかは、いまいち自信がないが…