WBC その3。

というわけで(どいうわけ?)、行ってきました。
WBC日本代表、豪州との練習試合。於大阪ドーム命名権に逆らう)。
久しぶりのナイター観戦。そして、しばらくはないであろうナイター観戦、である。
三月から日月が休みとなる。日はデーゲーム中心だし月はそもそも野球が無い。
最初決まった時は連休になるとほくそ笑んでいたが、なんという落とし穴…
美しい薔薇には棘がある。甘い話には罠がある。この世の真理を痛感。(大袈裟)
ともかくそうした事情で心は浮き立っていた。さすがに法被とメガフォンはやめたが。
虎タオルと日本代表タオル(サッカー)手に球場へ。ヨメ「それはちゃうやろ」と却下。
しかし、行きの地下鉄の中では、カープの赤いメガフォンを誇らしく振るOL風もいて。
バキ混み(つうか鶴見緑地線、小さすぎ)の苦痛も和らぐほほえましい光景。しかし、
カープて選手出しとったっけ…栗原は帰ってしまったし… とヨメと二人首を傾げる。
そして到着、弁当を使う間に試合開始。ビールは美味しく、綺羅めく星々の競演を楽しむ。
グラウンドの中は、それは夢の空間であった。野球日本代表。小さい頃からの妄想が現実に。
その点ではまたとない感動であった。その点では。しかし、ごめんなさい。今から毒を吐きます。
謝るくらいだったら書かなきゃいいのだが、どうにも我慢できない。しばしご辛抱を。
付き合ってられへんわ、という方は、この辺で前の画面にお戻りくだされたく。勝手ご容赦。
グラウンド内の夢とは裏腹に、スタンドのウツツは自分にとっては厳しいものであった。
何たる試練。前の餓鬼に、左の関取、後ろのDQNのまさに三重苦であった。(右はヨメ)
まず餓鬼。興奮してるのはわかるし、座ってたら君が見えないのは理解できる。しかし、
立つならば後ろの人に配慮をしてほしい。ほんまねえ、10センチ低くなってくれたら、
全く問題はなかったのだが、ほんまビミョーー、にマウンドの位置に頭がくるのだ。
一回たまりかねて「すんません、少し頭を下げて…」と声かけ、一度は引っ込んだのだが、
ほんま一分後くらいにはまた立ち始め。となりのお父さんも一回は謝ったが、その後は、
なんか写真とるのに必死でノーケアー。自分らも昔子供の頃、野球を観に行った時に、
前の人で見えない…というのでもどかしい思いをした経験があるが。それは誰もが通る試練だ。
昔の殺伐とした球場やったら、立ってたら「こらクソガキ見えへんぞ」と怒鳴られてたで。
そういう経験を通じて、他人との関わり方を教えられた気がする。しかし今はどうだ。
俺がお父さんやったら、椅子の上に正座さすけどな。そしたら丁度よくなるだろう。
一回言って聞かなかったその後は、呆れてヨメと密着して見た。まいい口実、と都合よく解釈(は?)
しかしま、これは、私が「日本最低の野球場の一つ」と密かに呼ぶ大阪ドームの設計の問題もある。
普通球場は、全ての人が視野を妨げされることなくバッテリーを見ることのできるようにすべき。
しかしおそらくは野球にあまり関心のない人が設計したであろう(あくまで予想)この球場では、
多くの席が、前の人の頭がバッテリーに被るような傾向がある。そもそも席によりレフトやライトが
全く見えないところがあるという、ほんま暴動ものの設計なので、こういうのもあまり驚かない。
近所に日本最高の野球場(GS神戸)と二番目の野球場(甲子園)と思ってるのがあるので、対照の悲哀だ。
次に、後ろは倖田來未を百回しばいたような容貌のDQNだった。まさに前門の虎後門の狼の様相。
ただでさえ私は倖田來未が嫌いなのでイライラは倍増。いや容貌でイラつくのはさすがに大人気ない。
しかしこいつの発言にはほんまにキレることの連続。「いやまじ私イチロー見に来ただけやしぃ」てな。
他の選手に謝れ。手ついて謝れ。そしてお前5000円俺が返すから頼むから帰れ、て感じだった。
いやそれは彼女に限ったことではない。イチローが亀井に代わった時にブーイングめいたものが流れた。
あれはないやろう。イチローに限らず、最後リリーフに馬原が出てきた時も同様の雰囲気に。
近くのねえちゃん?おばはん?まどっちでもええわ。そいつ「ここ大阪やろ、球児だせ〜」と野次。
お前らみたいなんがいるから、「だから阪神ファンは…」「だから大阪は…」て言われるいうねん。
(いきなり故・筑紫哲也氏風に)そりゃあ私だって正直なところは藤川が出てこなくて残念でした。
しかし、これは日本代表の試合です。そしてこれは本番に向けての練習試合です。観戦者は観戦者である
以前にひとりひとりが代表サポーターとしての自覚を持って、試合に臨むべきなのではないでしょうか。
藤川が見たいなら阪神の試合に行けばいい、という論理です。観戦者は選手全員をリスペクトすべきで、
優勝という目標に向けた大局的な視野に立って一戦一戦、いや一投一打を見なけれ…
以上、ムーランルージュさんの「他」事総論でした(途中で切れた)
特定の選手への声援もそうだが、あと気になるのはカメラのフラッシュだ。あれほど野球をなめた行為はない。
野球はミリ単位で勝負が決まる非常に繊細な競技である。光が目に入って手元が狂うこともあろう。
昔レーザー光線による妨害が問題となったことがあるが、これだって立派な妨害行為である。
プロだからそれは我慢しろという人もいようが。それってのは傲慢な態度ではないだろうか? あるいは
今日は練習試合で真剣勝負じゃないから、という議論もあろうが。確かにそれはある。東京ラウンドであれなら、
ほんまに私は暴れる。しかし真剣勝負でない野球はありえない。硬球がどれだけ硬いかご存知だろうか。
私は一瞬気が散ったために、顔や頭にボールをくらって死ぬ思いをしたことが何度もある。(ドジなだけ、とも)
一瞬気を抜くと怪我する。その凛とした空気が野球の醍醐味であろうに。そういう空気を感じないのか。
いや感じ「れ」ないのか。 …ぐちゃぐちゃ、ぐちゃぐちゃ、
毒がだだ流れで止め処もないので、そろそろ口を絞るが。最後に、こういう風にウダウダウダウダやる自分て、
やっぱ人間できてないわと痛感。そんな自分への天罰だったのだろうか、左隣は「大阪場所ですか?」と
見まごうばかりの立派な体格の方で。すっごい圧迫感があった。いやこの方はすごい真面目に見てらしたのだが。
その点は好感が持てたのだが、ただ、体格的に仕方ないのだろうが、股をおっぴろげられていたので、
自分のビールがかかってしまわないか心配しきりだった(コップ置きの位置が下過ぎ。これも「設計の問題」)
電車とかでも思うが、この手の体型の人って、ほんまぼかっと股あけて席をとる人が多い気が(おお、席取り!)
そしてどうして太ってる人はマクドが好きなのだろうか。あ、俺もか。という話。
マクドが先か肥満が先か。肥満が先かマクドが先か。哲学的考察のひとつもぶちたくなる。
しかしフォローになるかわからんが、この人には好感。大きい手で小さいオペラグラスを必死に覗くのが、
なんともチャーミングであった。小指立てて(笑)。
と、すみません、以上で毒は吐き終えました。ご協力ありがとうございました。純粋な観戦記に戻ります。
試合の方は、ニュースでも言ってたとおり、「ダルビッシュの調子が悪いとわかった」のが最大の収穫。
あと、岩隈、岩田、小松はほんまいい。マー君はすこし肩に力が入っているか。起用のタイミングが大事だ。
野手の方では、川崎が元気なこと。よう声が出ていた。あと、やっぱり内川使ってほしいなあ… 二番で…
中島がどうだ、と言ってるんじゃないんだが。あのバットコントロールはやはり天才的だ。代打には惜しい。
あと、全体的に豪州は気合が入ってなかったな。時差ぼけ? 時差はないはずだよな? しまったまた毒が。
まあ、世界一準備をする民族を前にすれば、どの民族も見劣りしてしまうのは仕方ない。本番では違うかも。
最後に、印象にのこったシーンを二つ。
満身にフラッシュを浴びて、バットを天にかざすイチロー。それを見ただけでも行った甲斐があったかも。
それはさながら、荒れ狂う波濤を切り裂く、それこそサムライのごとき姿だった気がする。
フラッシュ、関係ない。天上天下唯我独尊(これ悪い意味でないよ)。既に神の領域だ。
そして、代走石原が出た瞬間、燦然とスタンドにそそり立った、カープの赤のメガフォン。
それが電車の人と同一かはわからないが。そや石原。おったやん。よかったやん。わがことの如く嬉しく。
いろいろ文句をいいつつ、やはり野球を見てしまう。その理由の二つがここに。
機嫌をなおして、帰りは大正に出て、沖縄料理と泡盛で祝杯。
大阪ドームにあれだけ文句をいいつつ、やはり行ってしまうのは、これがあるからだろう。
球場の帰りの居酒屋。本当に好きな雰囲気だ。これがなあ、大阪ドームじゃなかったらなあ。
大阪球場西宮球場を、そのまま移転すりゃよかったのに。明治村ならぬ昭和村みたく。おっとまた毒。
明治大正昭和とそろったところで、更け行く平成の夢一夜。これにて幕。
おあとがよろしいようで。
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<本日の言葉>
イチロー名言の数々。

『僕は天才ではありません。なぜかというとどうして自分がヒットを打てるかを説明できるからです。』

『ちいさいことをかさねることが、とんでもないところに行くただひとつの道。』

『いつもあの日(オールスター)が終わってしまえば何ごともなかったように消えてしまう。
 だからこそ尊いという価値観がある。』

『僕は決して「打率4割」とは言わないんです。6割の失敗は許してやるわ、と。いつもそう言っているんです。』



「許すこと」の大切さと難しさ。自分にとっても永遠のテーマであると痛感。
つうか最近、「ひぃぃ、許してっ」ってことをやらかしたので特に、とは都合のいい話。