遙かなる熊野本宮1「天満橋→天王寺」。










(1)天満橋から見る「水の都」。
(2)スタート地「八軒家」跡。
(3)「1・窪津王子」跡。
(4)この道が遙か熊野本宮に続く。
(5)「2・坂口王子」跡。
(6)「3・郡戸(こうづ)王子」が合祀される「高津神社」。
(7)「四天王寺」。閑静な佇まい。
(8)本日のゴール。阪堺電車天王寺駅前駅にタッチ。
(9)新世界にて。なんか知らんが無性に腹が立つ。
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きっかけは、いつものように、なんということもなかった。
山はやはり春歩きたいし、でも晴れてるから外歩きたいし。どうせやったらイベント性が欲しいし。
また、ネボスケ夫婦ゆえ、遠出でけへんし(早く起きろよ)。と休日の過ごし方に悩んでいた。
と、ガイドブックをパラパラ見ていて見つけたコースが、これである。遙か彼方の紀州熊野本宮。
そこへの道は、実は大阪から始まっている。と。なんとも、浪漫溢れる話ではないか。
ちょっとずつでもええ。デートネタに飽きたら、続き続きで一生かけてでも歩いて行こうよ、と。
思いつきは素晴らしく夢溢れるものであり、意気揚々と出かけたが。果たして。
まずは大阪天満宮で、この長い長い旅の安全を祈願。歩き始める。天満橋を吹き抜ける風が心地よい。
そして迷った末、この熊野道の起点である「八軒家」跡を発見(しまった、駄洒落だ)。
古の時、京から熊野を目指す人は、多くがここで船を降り、陸に上がり旅を始めたということだ。
そしてまた迷った末、第一王子である「窪津王子」を発見。王子というのは、熊野古道の沿いの
諸所に配された神社のことで、熊野詣での人々の旅の安全が祈願されたものである。「王子」と
呼ばれるのは、修験の旅人に寄り添う守護神が童子の姿をとっていたからとか、なんとかかんとか。
ま、平たく言えば「東海道五十三次」みたいなものだ(まとめすぎ)。人呼んで、「熊野九十九王子」!
道遠きを実感する。しかし確実に道は続いているのだ。すれ違うサラリーマンの皆様。お勤めご苦労様。
しかしお気づきだろうか。あなたがたは古人の踏みしめた、熊野古道を歩いているのだよ。
いちおう関西生まれの私。自分は大阪人、と自負してはいるが。なんと大阪を知らないことかと痛感。
実際歩いてみて、新発見の連続で実に興味深かった。いやはや、天満橋、あなどれない。
あんなに坂が多かったのもびっくりだが、街々に、そっと点在する瀟洒な店舗の数々。雰囲気良。
ヨメいわく「バルセロナみたい」と。その思い出を共有していないのが複雑。それもいつか。
その後、谷町から上本町へと、また迷いつつチェックポイントを通過しつつ歩みを進める。
上町台地とはよく言ったものだ。その昔、この地は北方に延びる半島であり。その岬に大阪城があった、と。
真田幸村が駆けたかもしれない道に、浪漫をひしひしと感じる。また、こんなに寺社が多かったのかとまた驚き。
町ひとつ、通りひとつ違えば街の表情がどんどん変わっていくのが非常に面白く。飽くことがなかった。はじめは。
しかし、この迷っては戻り、がボディブローのようにきいたのか、或いはアスファルト道にやられたのか。
やはり人工芝より土である。土のグラウンドを求めて移籍して、移籍した先が人工芝になった村松の心境やいかに。
と、話が毎度よれよれになる我が日記と丁度同じように。
どうも旅程は進捗しない。当初は「今日中には堺入り」と意気込んでいたのだが、「まじかよ?」て感じに。
ガイドブックには、「天満橋浅香山 4時間5分」て書いてあったのだが。嘘やろう?
ガイドブック筆者はよっぽどの楽観主義者か、適当な人か、はたまた忍者か何かにちがいないと確信。
すっかり日和った我々は、本日のゴールを天王寺に下方修正。それでもたいがいしんどかった。
「温泉と串カツ」に引かれてとどまってしまったのも敗因のひとつ。
四天王寺では、「四○○寺高校」(伏せても無駄)の制服についてヨメ相手に力説。失笑を買う。
おそらく聖徳太子も同意してくれることであろう。て誰に何を同意するんだか。
最後、阪堺電車の駅に「でん」して本日の旅を終える。次はここからだ。次があるとすればだが。
串カツ食いながら反省会。我々は熊野古道をなめていたのではないか。或いはこのガイドブックの信用度。
この分だとゴールはいったいいつの日か。また、後の行程になるほど「スタート地点」が遠くなっていく罠。
しかしま、せめて山道になるまではやりたいよねえ、と夢は膨らむ。
普通に日常を送っていても、我々は熊野への旅の途中なのだ、という新たなアイデンティティが面白い。
いやむしろ、熊野のほうがメインで、そのために日常を送っている、というのも、なんか素敵かも(笑)。
ともかく我々は歩き始めた。韓国のことわざでは「やり始めたら、半分やったも同じ」というらしい。
三日坊主にとってはこれほど勇気付けられることわざもないのであるが。都合よくいいふうに解釈しつつ。
というわけで、当日記でも不定期に連載していくとします。
といって「2」がいつになるか全く保証はできませんが。
「今回の行程 約6キロ ――熊野本宮まで あと約230キロ」
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<本日の言葉>
(再び)
「道」 アントニオ猪木
この道を行けば 
どうなるものか
危ぶむなかれ
危ぶめば道はなし
踏み出せば
その一足が道となり
その一足が道となる
迷わず行けよ
行けばわかるさ