夢の後の夢。

阪急西宮北口駅
阪急神戸線今津線が路線図上では交差するこの駅。
かつては本当に交差していたのだが、その辺を話し出すと長くなるので割愛。
ムにとっては、「御受験」のみぎり。小学校高学年での塾通いの最寄り駅だった。
「毎週電車に乗れるよ〜」という甘い誘いについ乗ってしまったのが運のつきだった。
がその話もしだすとまた長くなるので、それも割愛。
しかし非常にびっくりしたことに。その言わば幼少期をうずめた場所と全く同じビルで。
その25年だか後に家のローン契約をするとは。人生わからんもんである。
わざわざその塾の階まで行き、トイレを使わせてもらったが、あー、こんな小さかったんだ。
あの時は大きく見えたがなあ… というのは感慨深かった。て、トイレ時の手元の話ちゃうで。
塾の話でございます。
その、昔の面影をなお残しているのは駅の一方向のみであり。他の三方向はすっかり様変わりした。
特に、西宮の、また阪急の象徴というべきものが、全く変わってしまった。
敢えて「変わってしまった」と言ってしまったが。昔、西宮球場。今、西宮ガーデンズ。である。
ムは、親の影響で何の因果か阪神ファンとなってしまい、幼少時は阪急球団とは縁が浅かった。
が、やはりそこは沿線である。周りはあの、「黒赤」を被っている男の子がむしろ多かった。
時は1970年代後半から80年代前半。折りしも阪急の黄金時代。その「黒赤」は眩しく見えた。
その眩しさに、自分の被っている「黒黄」を思わず隠したくなってしまうほどであった。
この話も長くなりそうだが、今度は割愛せん。てゆうかこの日記のメインテーマやしな(そうか?)
球史に名を残す名選手が、自分がガリ勉してるほんの数百メートルの近くで躍動していたのだ。
素晴らしいものが近くにあっても、そのありがたみがわからないと意味がないと見えて。
もう一度あの時代に戻れたら、西宮球場に行きまくっていたのになあ、と後悔するものである。
話はまたよれるが、ヨメは中学だか高校だかのとき、「福本さん」という女の子と塾で知り合い、
よく一緒に帰っていたのだとか。阪急の主要駅には昔、野球の途中経過を知らせる掲示板があったのだが、
それを見て「あ、よかった。お父さん今日勝ってるわ」とか言っていたらしい。
「お父さん何してるん?」「ああ、うちのお父さん野球選手やねん」「ふーん。すごいねえ。」
で、その話はそのまま流れてしまったとか。おいおい何流してるねんヨメ、と今では思うが無理もない。
当時プロ野球をよく知らなかったヨメは、「世界記録を持つ男の娘」と帰宅していたことを知らなかったとさ。
その塾が、今私の職場であります。ってのも非常に感慨深い話ではあるが。
で何だったけ。ああ、幼少期はありがたみがわからず縁がなかった、て話。
しかしその後青春期にかけては、ちょくちょく通った。阪急戦に、その後のオリックス戦。
たまに阪神戦もやってたりして。それはまた書くことがあろう(書くな、と言っても書きそうだ)
また学生時代には、秋のアメフトでまた縁ができた。球場を揺るがすカウントダウンは忘れられない。
ヨメと付き合い始めるずーっとずーっと前に、ヨメと私を含むグループでアメフトを観に来たことがあった。
あの時は麻雀明けで。後で行った喫茶店では居眠りする始末。「なんて人だ」とヨメには
当時思われていたとか。その後まさかこうなるとはねえ。そういう思い出もある。
・・・・
む。これって甲子園だったような気もする。む。早急に確認せねば。やばい(何故)
ま甲子園もいいが、さすがは、阪神に負けるな!と阪急が社運を賭けて築いたスタジアムである。
斬新なデザインに近代的な設備。そして前も書いたが、それが古みを帯びるとまた味が出て。
球場界隈の雰囲気もよかった。駅はそこそこ小洒落ているのだが、球場へ続く路地には、焼き鳥のにおい
うどんか何かのダシのにおいが漂い、弁当を売るおばちゃんの威勢いい声。好試合を期待する喧騒。それが。
それが今、模型となって西宮ガーデンズにある。なかなか精巧なつくりだ。駅のダイヤモンドクロスもあって。
「こんな客入ってることあったんかいな」という突っ込みもあろうが(笑) 見た目は本物らしい。
しかし模型はにおわない。模型には喧騒はない。模型の中の選手は微動だにしない。
西宮ガーデンズ。確かに素敵な商空間である。斬新な建築に明るいショウルーム。購買欲をそそるブランド品。
そして、ガーデンズの名のとおり、オープンテラスは綺麗にガーデニングされ、(ガーデンド、と言うべき?)
最高の都市空間である。これはこれで素晴らしい。不景気もこの中だけはどこ吹く風だ。しかし。
この寂寥感。なんだろうか。同じ気持ちを前にもどこかで感じたことがあったなと思ったら、
同様に、昔の球団の本拠跡にある、大阪市内の施設でのことだった。
その球団とここ西宮の球団と。消滅したのは全く同じ年のことであった。
進歩とは何なのか。前を向き歩くことで我々が失ってきたものは何なのか。
昨日、ここを訪れ、考えざるを得なかった。映画を観るためであったが。
その映画の主人公がチェ・ゲバラであったのもなんか象徴的だ。それもまた書くことがあろうが。
ただそうは言うても、やはりおいしい食事に、面白い本、きれいな服、これも捨てがたいしねえ。
なんとか自由と平等を手に入れつつ、古いものも守りつつ新しいことも取り入れながら、
しかもみんなの欲も満たしつつ、てことはできんもんか。虫がいい話か。
しかし俺はこの話をどこに持って行きたいのだ。何のためにこれを書いたのか。
わからんので、「戦利品」を並べて御茶を濁しておく。
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うちのまる ~養老孟司先生と猫の営業部長

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藤井康雄の突破力―ミスター・ブルーウェーブ

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私信)最後のやつは持ってなかったらすぐ買いなさい。あるいはうちに借りに来なさい。
おお、これが、今日の日記を書いた意味か!
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<本日の言葉>

「藤井だけが選手ではありません」  オリックス応援団の人



これも話せば長くなるので、またの機会に。
て、そのまま忘れてしまったらすみません。