SF珍道中4「北京の仇をSFで討つ」。




(1)ホテル前の道路の風景。人だかりはケーブルカー乗り場。
(2)世界の車窓から、じゃなかった、ホテルの窓から。
(3)ユニオンスクエア閑静な佇まい。この場が、、、
試合の興奮覚めやらぬ中、皆が名残を惜しむように球場外に屯する。
ジャイアンツファン同士と分かれば、知らぬ同士でもハイタッチをかわす。
(こっちでは"high-five"というらしいが)。いい光景である。
しかしドジャーズファンと見ればthumb-downを。これはあまりいただけない。
出待ちの群集を縫うように、ダウンタウンのホテルへの帰路に着く。
しかし午後6時も近いのにまだ昼のように明るい。夕方というのが信じられぬ。
一方これは次の朝わかったことだが、朝は8時近くでも薄暮という感じで。
ぬぬう。これが名に聞くサマータイム、というやつか、侮れん。と妙な感動を。
ミスター・サマータイム、あれは遠い、夏の日の幻だ。(は?)
そして、今回それ以上に衝撃を受けたのは、夏のSFは寒い、ということ。
昼間は日が照っていてそこそこ暑いのだが、日が沈むとぐっと冷え込んでくる。
ガイドブックに「セーターが必要」と書いてあって、まさか、と思いつつも、
半信半疑ながら持っては来たが。本当だった。そういや、昔地理で習った、
西岸海洋性気候というやつ? 寒流の影響を受けて緯度のわりに涼しいと。
いやはや。やはり知識は体験による裏づけがあってこそだ。痛感。
(と言いつつあとで調べたら、SFは「地中海性気候」とある。あら?)
当初は、暗くて何もできないだろから観戦後は食事して寝るだけ、と思っていたが、
こんなに日が長いとは、知らなかった。時間をもてあました。仕方ないので、
しばしホテル周辺をぶらつくことに。ホテルからほんの数ブロック先には、
ガイドに「絶対近づいてはならない」と書いてあった、テンダーロイン地区がある。
「夕鶴」ではないけれど、するな、と言われれば、したくなるのが人情である。
と書き始めれば行ったという結論にしなければ話としては面白くないが。
さすがに、やめといた。「こんな危ないことした」というのはそれで自慢なんだろが。
匹夫の雄というものだろう。どんなに凄い所なのか、という興味は止め処もなかったが、
なんとか思いとどまる。かわって、反対方向の繁華街をぶらつく。
そこは、「光のアメリカ」の象徴のようで、それはそれは華やかではあったが。
その数ブロック先には、途方もない深淵があるという。それもまたアメリカなのだろう。
繁華街にも飽き、ユニオンスクエアに戻り、ベンチに座ってビールをちびちびやることに。
そこで気付きはじめたことなんだが、買い物した時の店員は、特に女性は、私が
話しかけた時、ほんま眉をひそめるのだ。聞こえにくいのか、ほんま文字通り、
眉をひそめているのか、あるいは私が眉をひそめているからなんか、或いは人種差別?
或いは、私の態度がおかしいんか、何か問題があるんか、座ってあれこれ考える。
そうこうするうち、広場の中心で、何かが始まろうとしていた。
黄色い旗を持ち、黄色い服と、なにやら民族衣装的なものを身にまとった人々が集まり。
そして垂れ幕がかかった。「チベットに自由を」「北京の歓喜チベットの陰鬱」云々、
と書いてあり、園内を練り歩きはじめた。明らかにチベット人らしき民族衣装の人が、
公園内の人々に、ビラを配っている。受け取っている人、受け取らない人、様々だ。
五輪のことなどすっかり忘れていた私が、アメリカで始めて五輪に触れたのが、これだ。
一団は、コンサートか講演かの準備もしかけ、これから賑やかになるであろうと予想された。
どんな主張があるのか、ビラには何が書いているのか、興味深かった。
近くまできたので、次は私だなと思っていたら。チベット人は、私をスルー。こら何でやねん。
この見るからに中国人の面相に、中国支持、五輪支持ととられた、ということだろか。
あるいは、私個人的な問題なのか。こいつどうせ英語読まれへんやろ、とか。或いは怪しかったか。
ま、中国人ぽい私がいたらやりにくいだろから、とイベントが始まる前に立ち去る。
というのは、表向きで。はい、そうです私、スネてしまいました。全く、人間が小さいや。
こういう小さなすれ違いから、国際平和は崩れてゆくのだろう。
今となっては、反省することしきり。
しかしこの頃から、だんだん、気持ちが下降線をたどってゆく。
その後行った、メキシコ料理屋では、ヒスパニック英語と、おそろしい早口、そして、
「○セットと△セットと×セットとどれがいい?」と言われてもそれが何かわからん状況。
もともとブルー気分だったのもあり、「オケーオケーイエースイエースハウマッチ」とヤケクソに。
したら、なんか怪しげなソースのかかった巨大なタコスと、山盛りのナチョスが出てきた。
もともと食欲もなかったのに、三人前はありそうな食事を前にして、なんとも悲しい気分となった。
めったにしないことだが、少しつまんだだけで、あとはキレ気味に食事をくず入れに。
この時の私の状態を、思う出すだに恥ずかしい。一日目にしてもう不安定になってきたのだろうか(早)
ホテルに帰ったあとは、シャワーもそこそこに、床に就く。
日本からを考えれば本当に長かった8月10日は、果たしていい日だったのか悪い日だったのか。
回想する間もなく、私は深い眠りに入った。
明日は、また別の日である。
お前の日記も長いやろ、という突っ込みはご容赦。すんません、これでやっと一日目終了です。