Sicko。

マイケル・ムーア監督作品。『Sicko』。観に行った。
内容の感想より先に。まず適当な邦題をつけてほしかった。
奇を衒っていたのだろうが、逆効果ではないかな。
Sicko大人二枚お願いします」
この一言を言わねばならないのが、高いハードルになってるのでは。
観客動員に影響を及ぼしているのは間違いなかろう。
逆に、敢えてこのハードルを越えてくる観客だけを相手にしている?
そこまで考えているとすればすごいのだが。
Sicko』とは、「ビョーキ野郎」「キモッ」くらいの意味の俗語らしい。
ビョーキにかかると大変。人生が狂ってしまう。そんなビョーキ状態の
アメリカ医療制度に問題を提起した作品。非常に面白かった。
もちろんマイケル・ムーアだけに、話3割くらい引いて考えねば
ならないだろうが(或いは7割?)。アメリカに代表される、
「自由」競争社会の持つ病理が、見事に浮き彫りとされている。
なんだろなー。資本主義、自由主義そのものに反対するわけじゃないが。
どうして「負のサイクル」に陥ってしまうのだろうな、というのが不思議。
利潤を上げようとする保険会社。支払いの厳正化と加入条件の引き締めを図る。
医者は製薬会社と保険会社の方を向き、薬をばら撒き、保険の御用医者と成り下がる。
また、そうやって「業績」をたかめた企業人が、医者が、「昇進」してゆく。
どこからボタンが掛け違ったのか。どこに病理が潜んでいるのか。
患者、医者、保険会社、製薬会社、全てが上手くいく方法もありそうなものだが。
人間の幸せと企業の利潤のベクトルが見事に一致する、
そんなシステムはないんだろか。共産主義がそれではないことは、
歴史が証明しているし。じゃあ他には? 今がベストでないことは明らかだ。
賢い人が地球にはいっぱいいっぱいいらさるのに、できへんのかなあ。
他にもいろいろ印象に残った内容はあるが、ネタバレになるので多くは語らない。
ただ一点、ここで挙げたいのは。
作中にあった表現、「政府の狙いは、国民を絶望に陥れ、あきらめさせること。
一番手っ取り早いのは、健康と教育を奪うこと。未来の希望を失った国民は、
未来を考えるより、現在を生きることに必死になり、、、」みたいなくだり。
日本も似たり寄ったりの状況だろう。あきらめたら終り。
素晴らしき将来になるかどうかは、各人がカギを握っている。
そんな中、自分は何ができるのか。うーん。難しくてよくわからんが。
とりあえずは他人の健康のために、国民健康保険を払い続けよう。
てゆうか国保、、 ま、この辺の話をしだすと長くなるので、割愛。