コアなファン。

といっても、私がファン、ということではなく。
信じてもらえぬかもしれないが、私のファン、ということである。
今回は久しぶりに、あまり普段しない仕事関係の話。
はじまりは、唐突だった。
失礼な言い方かもしれないが、見るからに「理系系」の高一男子生徒。
彼が事務所を急襲してきた。で、出し抜けに。
「先生、ポアンカレー予想についてネットでいろいろ調べたんですけど」
「はあ、何やそれ」
「英語で書いててさっぱりわからないんです」
「おお、そら難しそうやなあ。で、何やねん」
「今度USBに落としてくるので、見てくれませんか」
どひゃー。僕は数学か物理かしらんけど理系はパープリンやから、、、
だいいちポアンカレーとボンカレーの区別もわからない、うんたらかんたら。
言い逃れようとしたが。彼は有無を言わさず持ってきた。で預かった、と。
「先生、見てくれました?」
「おお、見たで。見ただけやけどな」
「どうでした」
「おお、ワラビとかゼンマイとか、いっぱい書いてあったなあ」 などなど。
で、この件に関しては許してくれたようだが、なんやしらん、この子、
何かにつけて私に話しかけてくる。まあ、それ自体はいいっちゃあいいのだが。
こないだ夏期特訓で4日連続彼の授業を受け持ったのだが、
4日とも彼に急襲を受けた。息もつかせぬ攻撃に、もう、たじたじである。
何か、私が彼の知的感性に訴えるものがあって、「ともに語るに足る漢(おとこ)」と
みなされているのだろうか。そう好意的に解釈すれば、まんざらでもない。
仕事で時折やり切れなさを感じる時は、ま、ああいうのもいるんだから、と。
心の支えにしたいほどであるが、、 流石に毎回理系の話をされると相当つらい。
切り返しのネタもつきてきた。それと、テンパってる時はそれこそ恐怖である。
あるいは、知的感性云々より、所謂あにき系の魅力を感じられてたりしたらどうしよう、
そういう杞憂も少しないではない(何いってんの)
長年この仕事やってきて、これほど近づいてきた生徒も少ないので、それはそれで
嬉しいことでもあるが。そういや特に女の子が近づいてきたことはないなあ、と。
いささか、晴れ晴れとした寂しさ(?)にも捉われるムーランルージュ34歳の夏であった。
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と一応書いたが、件の彼は、見た目ITにかなり造詣が深そうなので、
(これも失礼な印象かもしれないが) もしやして、自力でここまで
たどり着いてきそうで怖い。すんませんみなさん。この文章が突然消えたとしたら、
そう解釈してください。いちおう「ポアンカレー予想 英語」とかでぐぐっても
このページは出てこないことは確認しているが(そこまでするか)