深い河(ディープ・リバー)。

深い河

深い河

読了。
様々な背景の様々な信条を持った人が、様々の人生を背負い、
母なる河ガンジスに至る。そこで目にしたもの、起こったことを
それぞれはそれぞれに受け止め、それぞれの「結末」を迎える。
なんかよくわかったんだかそうでないんだかわからん粗筋で申し訳ない。
輪廻転生、罪と罰、宗教の相違、格差と貧困、そして男と女、愛。
テーマも盛り沢山で、それでいて、焦点が絞れていないなんてことはなく、
強烈な存在感とともにそこに「ある」のである。丁度インドの雑踏のように。
そしてその全てが、ガンジスの流れに収斂されていくのである。
自分はインドに行ったことはない。それが幸か不幸かはわからない。
しかし行ってみたい、と思わせる本であった。自分の価値観・人生観・
死生観、そういったものを変えたい、とは思っていないが、それに
揺さぶりがかけられた時、自分はどうなるのか。経験してみたい気がする。
そうすれば、相対的なもの、絶対的なもの、何が虚で何が実か。
見えてくるのではないかと思う。とか最初は普通に思っていたのだが。
旅行して、見る、ということが真の経験ではないだろうし、そんなんで
見た、わかった、つもりになっていることなど、まさに虚の虚なのでは。
あるいは、インドまで行かずとも、今生きているこの日本の社会を
自分はどこまで見ているのか、あるいはどこまでわかっているのか。
別世界を知りたい、とか言う前に、今この世界を知っているのか。
とか、ごちゃごちゃ考え出し、思考が止まってしまった。ぬぬう。
と私が駄文を書いているうちにも、ガンジスは滔々と流れているはずである。
「行きたい」というのもおこがましいかもしれない。
必要ならば、向こうから来てくれる。そういうものかもしれない。
*****
<本日の言葉>
「わざわざ来てくれんでもよかったんや。
 言うてくれたら、こっちから行きまんがな」
*****
うそです。こっちです。
<本日の言葉>
「信じられるのは、それぞれの人が、それぞれの辛さを背負って、
 深い河で祈っているこの光景です…その人たちを包んで、
 河が流れていることです。」