バビロンに行きて歌え。

バビロンに行きて歌え (新潮文庫)

バビロンに行きて歌え (新潮文庫)

読了。
この想像を絶する筋書。(後から振り返れば、ありだな、とも思うが、
読んでいる途中は「やられた」という連続だった)
どこを取ってもネタバレしてしまいそうなので、論評は野暮だと
判断する。どーだろ。評価がわかれそうな小説。
「ありっちゃあありだ」と思えるか。「ありえね」で終りか。
それって、なんでもそうだと思う。趣味にしろ人生にしろ。
丁度、本書の中のこの部分が象徴的かと思う。
*****
「人の世界のどこかに越えがたい境界線があって、鉄条網で仕切った
 ノーマンズ・ランドがあって、人はそれぞれその境界線のどちらか側に
 所属している。行き来することはできない。…
 誰も人がいない世界で歌われる歌に共感できる者とできない者がいる。
 大波の中に身を隠してでも、その声を避けたいと思う者がいる。
 人のいない世界から聞こえてくる声に陶酔する者と、その声が
 聞こえないところまでひたすら走る者がいる。」
*****
じゃあ、私はどっちなのか。正直、ようわからん。
共感できるかもしれんし、できへんかもしれんし。
二元論を超えた「わからん」という視点もあるんじゃないか、と。
今回はいささか手抜きだが。これにて。