『博士の愛した数式』

博士の愛した数式

博士の愛した数式

という本をヨメに薦められ読んでいる。
元数学者と虎ファンの少年との心温まる交流,その中で揺れる主人公。
という,周りにいくらでも転がっている(何処に)話である。
数学を唯一にして最大の言語とする学者,そして阪神を唯一の心の拠所
とする少年。舞台は1992年の,ある地方都市である。
虎ファンならば,1992年と聞いただけで,目頭が熱くなるはずである。
その描写はこと細かく,今でもあの情景が,熱狂が蘇ってくるようだ。
それが「博士」の語る数学論と妙なマッチをし,不思議な世界を醸す。
まず秀作といってよい。ヨメが薦めたのも頷ける。しかし,だ。。
この一節が問題となった。以下,抜粋する。
「六月十四日の日曜日,タイガースの湯舟が甲子園でノーヒットノーラン
を達成した。私とルートは晩御飯がすんでから,お風呂にも入らず,
ずっとラジオを聞いていた。。。」
物語の筋とは何も関係ない細部なんだけど。私の記憶違いかもしれない。
また,敢えて作者が何かを意図したのかもしれない。しかししかし。。
あれは,確か,デーゲームだったはずなんだけどなあ。。。
ずいぶん早い晩御飯ですねえ。。昼から風呂とは優雅ですねえ。。(性悪) 
グラブを叩きおどける湯舟を照らしていたのは,カクテル光線ではなく,
梅雨の合間の薄日だったような気がするのだが。。。 不思議なもので
こういう個所を見つけてしまうと,全くチンプンカンプンな「数学ネタ」
まで胡散臭く見えてしまう。知識を持たない者にとっては検証のしようも
ないのであるが,持つ方にはどう映るのだろうか(何気に依頼など)
これは別に「間違いだ!」と鬼の首を取ったことを誇るわけでなく。
ただ,数学も阪神も知らない人には,この美しい幻想の世界が永遠に
展開されつづけるのだろうが。そう考えると,真実の知識が世界を
ぶっ壊してしまうというのは,不幸ではないのかな,と言いたいのだ。
知識っていったい何のためなんかな,とさえ思ってしまう。
まあ,まだ途中なので,読破したらまた感想も変わってくるのだろうが,
「湯舟事件」のために壊れた世界は,そう簡単に修復できそうもない。
お蔭でヨメとも喧嘩しちまったではないか。どうしてくれるのだ(知らん)