敗北感を感じる時。

この前なんかのテレビで松尾スズキが出ていて。面白いこと言ってた。
ソムリエほど人に敗北感を感じさせる者はいないと。ある意味「ボスキャラ」であると。至言である。
「まああなたには手が出ないでしょうけど,見せときますね」という顔でワインリストを見せられる。
一応迷うフリをして一番上のほうを指差しながら,下のほうに指を滑らし,それでも一番下は
恥かしいので,一番下から二番目を選んでしまう。読めないので「じゃあ,これで」とおずおず頼む。
すると「○○ブリアン××ラジョンジュの○○年で宜しいですね」と。こんなん読めへんのかバカか,
とでも言いたげに確認される。それに対して「え,ええ,それで」と作り笑いする時の屈辱感。
あとはテイスティングであるが。。一度で言いから「だめだだめだ,こんなんじゃ」と言ってみたい。
或は松尾スズキでなくても,「あ,僕はテイスティングしない主義なんで」とでも言いたくなる。
こういう小さな勝負にこだわる気持ちが,日常を豊かにすんじゃないか,と。
これと似た話かはわからないが,こないだ立体駐車場に車を入れようとしたときに,係員が,
「サイドミラーは手動ですかねえ」と言いやがり。「はい,手動ですが何か」と答えると,
「じゃあこっち畳みますね,あ,そっちはお願いします」だって。やっぱひと目で手動と分かる
車なんだよなあ,と屈辱を感じつつも,大人しくミラーを畳んじまったわけだが。松尾スズキに倣って
「あ,これは動かないんです」とか,「あ,超微細防塵機能がついてて壊れますから触らないで」とか
言えばよかった。そういう姿勢が負けっ放しの人生を幾分動かすかもしれない。(そうか?)
小さな勝負へのこだわり,で繋がるかはわからないが。
ウインナー・ソーセージには優越感を感じ,フランクフルト・ソーセージには敗北感を感じる。
これは何故でしょう(知るか)