ときめき・ふたりハイク「おおそうだ、京都へ行こう」。

と、何やら某有名コピーの類似品めいているが。そんなわけで。
先の日曜日は我々にとっては、GW関係なしに「普通の日曜日」であったが、
たまにはGWらしいことをしてみようじゃないか、おおそうか、と突然思い立った。
「GWの京都」と言えば、ほんのちょっとだけ住んでいた者としては、
電車も道路も各施設もバキ混みという印象が多々あり、うんざり気分が蘇るが、
敢えて混雑したところに行く、というのが「GWらしさ」の真髄ではなかろうか、と。
ただ、自分らが選んだ所にもよるのだろうが、案外に人は少なくて快適だった。
それも含め、全体的に思いがけぬ幸運に包まれた小旅行ではあった。
まず、敢えて伏せるが四条O宮から(伏せる意味なし)バスバスっと高雄へ向かった。
だいぶ前に、嵐山から高雄までハイクした時、高雄に着いた時既に疲労困憊であり、
いわゆる三尾(=さんび、即ち高雄(尾)山神護寺、槙尾山西明寺、栂尾山高山寺)を
訪れる予定が、神護寺の石段に完全KOされ、残りの二尾(?)を諦めてしまった苦い経験がある。
そのリベンジを是非とも果たしたかった。反省から、今回はハイクのスタート前に訪れることに。

まずは高雄山神護寺。石段はやはりきつかった。スタートにしてこんなにきついのに、
前はあの疲労状態でどうやって登ったのか疑問。ナチュラルハイ?だったのか。
登りつめると、紅葉と新緑の鮮やかなコントラストが出迎え。無知にして知らなかったが、
常に赤い葉っぱ、てのもあるのね。秋の紅葉スポットとしてあまりにも有名なここだが、
新緑の時期も、意外といいものである。和気清麻呂弘法大師、文覚上人、といずれも
興味深い人物ゆかりの地であり、歴史浴も存分に楽しめる。音声ガイドを強くお勧めする。

次に槙尾山西明寺。「三尾」の中では一番マイナーかもしれないが、ほっこりとした名刹
やさしく包み込まれるようなここの感じは、自分は三つの中で一番好みかもしれない。
その象徴ともいえようか、「だいこんの紋章」が印象的。この寺を元禄の世に再建したのが、
綱吉将軍の生母である桂昌院。彼女がもともと八百屋の出であったのがこの紋の由来とか。
「このモンドコロが目に入らぬか〜〜」てって、この「だいこん」が出てきたら、
悪代官とか、「はは〜〜」とひれ伏すよりむしろ、あったかい人間らしい気持ちになって、
自分の行いをポジティブに悔い改めそうだ。と、さんざん知った風なことを書いているが、
自分は全くこの紋章などするっとスルーしていて。ヨメが見つけて、教えてくれた。
この辺が「ふたりハイク」のいいところである。

トリを飾るは、かの世界遺産・栂尾山高山寺。うってかわって、「わびさび」の境地だ。
ここにはあの『鳥獣人物戯画』があり、その大ファンである自分は食い入るように見た。
また当山の中興を果たしたという明恵上人(=みょうえ。あきえ、ではない)に、
ヨメは最近関心を持っているらしく、思わぬ縁に喜んでいた。
「三尾」は三者三様の魅力があり、その違いが各々の魅力をより際立たせる気がした。
できることなら、常に三ついっぺんに訪れたいところだ。次は別の季節にも、是非。
神護寺にロープウェイつけてくれたら、もっといいのだが…(苦笑)
と、軟弱な気持ちを払うかのように、ようやっと、本日のハイク開始。この時点で午後3時。
今までで一番遅いスタートかもしれん。今回は清滝から嵐山のコースではなく、
林道に沿って北山に入り、沢池を経て、源光庵に降りるコースを採った。

北山杉の林を抜ける。あまりの真っすぐさに背筋も伸びる。
しかし針葉樹林て、なんであんなにひんやりした感じなのだろうか。と思うのは自分だけか。
林道を離れ、山道に入った頃から、きつい登りがあったが、それ以外は歩きやすかった。

沢池のほとりでコーヒータイム。旨し。
日没が気になりつつも、快調に行程は続いたが、ゴールの源光庵にいつまでたっても着かない。
最後でコースを間違えてしまったようだ。少し凹んだが、この間違いもそれはそれで、良し。
途中しょうざん?とかいうリゾート地の前を通る。この施設もそれは興味深かったが、
その向かいに、何やら重厚な門やら石組みだけがあり、荒れてしまっている土地があった。
果てはミステリースポット?と色めき立った。帰ってからも調べているが、未だにわからない。
そういう楽しい宿題が、コース間違いが与えてくれたもののひとつ。
もうひとつ。何とか千本北大路まで辿りついたので、旅の汗を流すべく、ここから近いと思われる、
「船岡温泉」を訪れた。「日本一の銭湯」との噂に違わぬ、素晴らしい経験であった。410円の天国!
特に、寺社では絶対お目にかかれないであろう、斬新な?デザインの欄間がよかった。
この後、奇襲をかけようかとも一瞬頭をよぎったが(何処へ)、無防備(手ぶら、と読む)でかつ、
手負い(不完全メイク、と読む)のヨメを連れていたのでは、十分な戦いはできないと泣く泣く判断。
南下の途に就いた。素通り失礼!
その後は、野菜たっぷりの焼き肉を食べたいと、四条に出たが、目当ての二店が、ひとつは倒産。
もうひとつは満員。ひえー、と思ったが、丁度焼き肉屋の前に、野菜料理専門店、なるものがあり、
ここいいじゃん、野菜たっぷり食べたいんだったら、野菜を食えばいいじゃん、と飛び込む。
ここが非常によかった。焼き肉だったら煙くなって帰らねばならず(風呂入っておきながら)、
ヘルシーさという点でも疑問符がついたが。今日の旅のシメとしては最高の形だったと思う。

新たまねぎが特に秀逸だった。
回り道も、失敗も、また楽し。
あなたに起こることは全て正しい。