!Vivan los Mineros de Chile!

いやはや。私も昨日、一昨日と国際映像にクギヅケだった。
こんなにも全世界がひとつになって、ひとつの映像を観たというのは、
かのアポロが月に行った時以来だのう。て、それは観たわけじゃないが。
全員生存、しかし救出まで数ヶ月かかりそう、という第一報を聞いたときは、
あらゆるもののスピードに人間が追いついていないこの現代文明にして、
たった700m掘るのにそんな時間がかかるのか…と暗澹としたものだが。
掘削は予想以上に早かった。また、救出開始から全員救出までの時間も。
こういう時は遅めに時間を言うとくもんだ、という声も聞くけども。
それにしてもその迅速かつ正確な仕事ぶりには舌を巻くばかりだった。
ある人は「人間の叡智の勝利」と称えた。ある人は「地球が始めて人間を産んだ」と言った。
CNNなんかでは「ハイテクとローテクの融合」と表現していた。地下のライブ映像が
前者の象徴だとすれば、一番長く映っていたであろう滑車は後者のそれであろう。
家族の絆は全世界の涙を誘った。またウルスアさんのリーダーシップの素晴らしさも、
諸所で語られる如くである。今日日「俺が最後に出る」つうリーダーがいるだろうか?
と、書きたいことが散逸しどうにもまとまらない。それほどいろいろなことを教えてくれた。
その中で、自分的に一番ツボに入ったのは(つまり一番涙ちょちょ切れたのは)、
二番目の人が笑いを誘った場面である。「おみやげだよ」と石を関係者に渡すあの場面。
この極限の状況にして、なお笑いを忘れない。だからこの人たちは大丈夫だったんかな、と。
自分たちは生きている、その事実だけで幸せの絶頂であるはずなのだ、実は。
そのことを改めて教えられた気がする。
ただ、水を差すようで悪いねんけど。全員助かったから敢えて言えることだが。
巨万のお金と国家の威信をかけ、全世界の注目の中で、この33人は助けられたが。
そのこと自体は素晴らしいし、それにケチをつけるつもりは毛頭ないねんけども。
今まさに、誰からも助けられず、誰にも見られずに、絶望の中にいる人は
その何千何万倍といるはずだ。
そのことは忘れてならんと思うし、忘れない自分でありたいと思う。
だからどうやねん、と言われると言葉に窮してしまう自分も、不甲斐ないわけやねんが。
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<本日の言葉>
「今回の事故に遭い、これからまた何があっても正面から立ち向かっていけます。」
                   マリオ・セプルベダ氏(二番目の生還者)