恐怖のスジ人間。

何を隠そう、私はスジ人間である。なんだそら。
といって、すぐこめかみに青スジをたてるわけでもない。
今いくよ師匠のように、首のスジが目立つわけでもない。
風呂屋の靴箱で「147」や「258」を異様に選ぶわけでもない。
いやもとい、私は麻雀知らないんだった。
土手焼きや、お好み焼きのスジ入りも大好きだが、それは別。
あまつさえ、裏のスジが…(自粛)
エピソードは二つある。一つは高校時代にさかのぼる。
前にも書いたかもしれない。高校の時野球をしていたのだが、
どこのクラブでも多少はそうだろうが、うちも例外ではなく、
新人の扱いがおかしかった。その一環として、大会前に
新人「だけ」丸刈りにしなければならなかった。なんでだ。
抵抗したい思いもあったが、先輩怖さにしぶしぶ従った。
と、床屋でバリカンを入れてもらった後、鏡を見て衝撃が走った。
青々とした丸刈り頭もショックだったのだが、それに加え、
頭のど真ん中、前から後ろに、黒々と一本スジが入っていたのだ。
いやはや。参った。当時流行っていた「真ん中分け」をしてて、
そこだけが日焼けしていたことが原因だったのだろうが。
これでは「アイスラッガーを忘れた人」ではなかろうか。
「スジ」隠しで帽子を被りたい。でも早く日焼けして「スジ」を消したい。
周囲の嘲笑とともに、ジレンマにも苦しまねばならなかったことよ。
月日は流れ。また自らの「スジ」にショックを受ける日が来るとは。
ある日ふと、風呂の時に「スジ」に気付いてしまったのである。
水月からヘソを通り、ギャランドゥ(一般名称か?)に至って黒いスジがすうっと。
ヨメからは「あなたは着ぐるみだったのか」とか「エイリアンが出て来そう」とか。
言われ放題だ。それはいいとしても、気になっていろいろ調べたところ。
これって、ひょっとして「妊娠線」というやつではないか?
いやー、孕んでも孕ませてもいないのに、こんなもんが先にできちまっただよ。
悩んだ末、うっかりツワリまでしてしまいそうになったが、ておいおい。
さらに調べると、妊娠時以外でも、ホルモンバランスの関係やら、さらには
「肥満後」に現れることがあるらしい。俺の「肥満」はこれで終わった、勝った。
とプラスに考えるようにしている。或いは若かりし頃の「頭のスジ」の名残か、とも。
全く。「スジ」に悩まされっぱなしの人生である。
人生自体に「スジ」が全くないことの反動かとも思う。おおそうか。
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<本日の言葉>
「単騎は西で待て。早いリーチは一四索」


いやいや、麻雀知らないんだった。私は。