大人買い、再び/若竹煮哀歌。

さらい屋五葉 第1集 (IKKI COMICS)

さらい屋五葉 第1集 (IKKI COMICS)

深夜食堂 (1) (ビッグコミックススペシャル)

深夜食堂 (1) (ビッグコミックススペシャル)

ヨメが親友にそそのかされ(失礼)、いろんな漫画を大人買いする。
おかげで我が家の漫ゲル係数(?)は高くなる一方であるよ。
して、気付いたら、自分も夢中になっているのだから世話はない。
最近ハマッているのは上の二つである。『さらいや…』は
前から持っていて今回新刊を買ったわけだが、鳥アタマの自分は
こみいった人物関係をすっかり忘れてしまっていて。
(『MONSTER』とか絶対無理)これ機会に、一巻から全部読み直した。
次刊が出る頃までには、また完全に忘れてしまっていよう。
何度も楽しめて得、というべきか。はたまた。
『深夜…』の方は、ドラマで何回かちらちら見たことがあって、
気にはなっていたが。話のテンポが良く、するするっと引き込まれる。
ひとつひとつは独立した話で、それぞれに主人公は違うのだが、
それをだんだんと「レギュラー」に取り込んでゆく手法は、
かの『野球狂の詩』を思わせる。ってわからん例ですか、ごめん。
しかし泣かせるねえ、両漫画とも。40前の男がトイレで漫画読んで
涙ぐむってのも情けない図なんだが。(トイレで本を読むな)
両方に共通してるのは、なんちうかこう、
「人間は絶対的にひとりだが、絶対にひとりでは生きられない」
とは誰が言ったか知らないが。それ、かな。知らないのは当たり前だ。
今私が作ったのだ。(このネタ前使ったな)
「繋がり」を求める人間、人情、それと厳しい現実のギャップ。
そこにひきつけられるものがあるし、それがこれらの漫画が
現在流行っている理由なのであろう。おすすめありがとう、親友。(今更)
*****
『深夜…』を読んでいる時は、基本、泣きっぱなしなのだが。
号泣に近くなってしまったのは、3巻の「たけのこ」の回である。
といって、話自体で泣いたというより、扉に大きく描かれていた、
あまりにも旨そうな「若竹煮」に、である。どうも思い出は食べ物と
直結しているようで。いけねえや。
新卒(全く新しくはなかったのだが、いちおう)で入った会社。
水が合わず、すぐやめてしまったのである。あまりいい思い出はなかった。
しかし思い出した。やめる直前、中堅どころの優しそうなオジサンが、
サシで飲みに連れて行ってくれたのだ。当時二十代の自分ではまず行かないような
しぶい小料理屋であった。なんとかかんとかチア・アップしようとしてくれていた、
当時のオジサンの声が蘇ってきた。それをウツロな目でスルーした自分とともに。
あの時つっついていた料理に、若竹煮があった。あれは実は、うまかった筈なのだ。
それもそのはず。ワカメもタケノコも、旬真っ盛りであった。時間を戻せるなら、
「うまいっすねー、やっぱ旬のものでの酒は最高っすねー」と元気に返したい。
当時の自分にそんな余裕もなく、嗚呼。せめてねえ、風呂吹き大根とまでは言わんが、
秋茄子秋刀魚の季節ぐらいまでは我慢すればよかったのかねえ。言うても詮無き事。
そう、どんな時代も悪い思い出だけ、ということは決してあり得ないのだ。
そして、あの「若竹煮のオジサン」。今から考えれば本当に世話になった。
自分がどんなに元気付けても一向に「改心」しなかった若者を見てどう感じられたか。
もし幸運にして、会う機会に恵まれるのなら、お礼・お詫びとともに今度は楽しい酒を飲みたい。
一方で、あわせる顔がないな、と沈む気持ちもある。いやま、気持ちよく会ってもらえるために、
どうしたらいいんか、それは自分の人生で答えを出すしかない。
自分の場合、そいうことを考えねばならん対象の人が、多すぎるのだ。
*****
む、最近日記がすっかり「思い出モード」に入りきっている感が。そういう季節か。
いかんいかん。