英語達人列伝。

英語達人列伝―あっぱれ、日本人の英語 (中公新書)

英語達人列伝―あっぱれ、日本人の英語 (中公新書)

これもボスからの「課題図書」。正直義務の読書はつらい。
まあ、まあまあ面白かったから、いいとしようか。
「基本的に日本にいながらにして」高度の英語力を身につけた
達人たちの記である。
「所詮留学してないからな」「もう大人だし手遅れだしな」
という自らよく使ってしまうエクスキューズにたいして、
ガツンと警句を与えられた気がする。いやいや、精進せねばいかん。
思い直した。これってすごくボスの「思うツボ」なのでは(苦笑)
しかしなあ、新渡戸稲造岡倉天心幣原喜重郎、、、、
そんな偉い人は、所詮はじめから偉いわけで。参考にならんぞ。
すまんな、ボス。てここで謝ってもはじまらないか。
様々、メジャーな人が出てきた中で、比較的マイナーといっては失礼だが、
岩崎民平という人の話が面白かった。この人「新英和中辞典」をはじめ
多くの辞書を作った、人呼んで「辞書の偉大なる男」である。
実はヨメが「西和中辞典」という辞書の編纂に関わっていて、
辞書作成の舞台裏を、一部にしろ垣間見たこともあって、興味深かった。
現代のかくも研究が進んだ中、多くの研究者が分担してやっても、
あんなにもしんどい作業。それを先駆者もない中、ほぼ一人で、
戦争によって蔵書が丸焼けになったりもしながら、やり遂げた情熱。
いやはやすごい男がいたもんだ、と感嘆。
とても真似できませんわ。すまんな、ボス、と再び。
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ほかの学問や技芸と同じように、語学もまた奥が深い。
勉強すればするほど、自らの不勉強を思い知らされる。
・・・俺はもう中辞典は卒業だ、とばかりに「新英和大事典」を買ったら
その編者がまた岩崎民平だった。
・・・幸い研究者の英文学叢書に(ラドヤード・キプリングの)注釈書があると
聞いて買い求めたら、そこにまたしても岩崎民平の名前があった。
・・・まさに「お釈迦様の掌の孫悟空」状態、あるいは「お釈迦様の掌の上に
いることにやっと気づいた孫悟空」状態である。・・・
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その「気づき」を得るまでにも相当な勉強が必要なのだろうが。