時雨のあと。

時雨のあと (新潮文庫)

時雨のあと (新潮文庫)

これもボス系の本である(何だ)。
藤沢周平って人は、すごくいい人なんだと思う。
これ、さわやかな恋愛物語の短編集なんだが。
なんというか。ほんと、さわやかなんすよ。自分が嫌になるくらい。
一部の話を要約すると。(ネタばれ注意ですが)
・男は何もかも捨てて腹違いの妹のために尽くしました。終。
・老人が過去を思い出しました。いい思い出でした。終。
・仇討ちに出かけた恋人が無事帰ってきました。終。
こんな調子である。
場面が進むにつれ、自分はどうもグロい展開を想起してしまうのだが。
それを見事に裏切ってくれる周平。見事にそのままな展開。
でもそれはそれでいいんかも? 読んだ後に残る、
「で、それから?」「で、オチは?」という感覚。
これこそが不幸の始まりなんかもしれない。
淡々とした当たり前の展開、これこそ幸せの形なんかもしれない。
せめて小説の中だけでも、きれいな恋愛があっていいんじゃないか。
だんだんそう思えてきた。で、この日記のオチはなんやねん、と言われても困る。