今夜、全てのバーで。

今夜、すベてのバーで (講談社文庫)

今夜、すベてのバーで (講談社文庫)

筆者の「シリアスもの」を読むのは初めてかも知れない。
読了。筆者のアル中入院体験を克明に小説化。
淡々とした乾いたタッチの文体が印象的。
「ただでは転ばない」筆者の姿勢には、学ぶべきものが。
その筆者が転んで亡くなったとされているのは
運命の皮肉か。ラストシーンにその事実が重なり、暗澹。
以下、印象に残った表現を抜粋。
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「きさまの二十年をこの子にやれないのなら、せめて、あやまれ。
 この子に土下座してあやまれよ。」
「さあ、その子にきさまの腐った二十年をくれてやれっ」
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「こんなに大勢の人が私たちのことを支えていてくれているという
 ことを初めて知りました。それなのに私は…私は…」