救いの紙?

ついに、ついに、ヨメの博士論文が完成した。全二百頁の大作。
ヨメの言葉を借りると、構想1年、執筆1年、油断3年(おい)。
特に最近ではヨメの骨折、またムが不調に陥ったりと、あった末。
別に自分が書いたわけでも何でもないんだが、実に嬉しい。
今まで見守る事しかできなかったが、昨日に至っては、印刷作業、
仕分け作業、乱丁落丁チェックと、微力ながら参加させて頂き。
それがまた嬉しさに輪を書ける。まあ、通ったわけでもないし、
これから試問もあったりと楽観は許されないのだが、とりあえず今は、
解放感に浸ることをお許し頂きたい。て俺が言うのも変だが。
しかし、完成に至る道筋を横から見ていると、奇跡の連続であった。
最大の奇跡が、やはり完成間際、昨日の深夜のそれであろう。
もうちょっとで印刷が終わる、というところで、プリンタのインクが
なくなってしまい顔面蒼白となる。近くの電気屋はとうに閉まっている
コンビニでは。。インクなど売っているところ見たとこない。
一縷の望みを抱き少し遠い24時間スーパーに行くが。なんと売り切れ。
神は我らを見放したか。。絶望感に浸る。車で遠出しようにも、
「前祝い」とばかり二人して生中をしこたま飲んでいたので。(こら)
電車で繁華街まで出ても、帰りの電車があるかどうか。ううむ。
15kmほど自転車こいで心当たりの「ドンキ」に行くか、
はたまた明日の早朝、車で行くか、それから印刷して間に合うか。。
と途方にくれていたところ、脳内にひとつの映像がぱっと浮かんだ。
それは、「開かずの間」の片隅で、埃をかぶっていた、昔のプリンタだ。
遅いとか前のパソコンと相性悪いとかで、新しいのを買ったのだが。
ゴミに出す機会を逃し、なんとはなしに置いていた、そのプリンタ。
ああ、あれが動いてくれるかも、しかもインクがあるかも。
旧プリンタさまの埃を払い、うやうやしく机に配し、手を合わせて接続。
認識してくれ! やった認識! 印刷してくれ!! やった! 出た!
その時のカタルシスといったらなかった。そしていささか感動した。
誰にも省みられず、ゴミ寸前となっていた、彼。敢えて彼と言う。
彼はこの時を待っていたのだ。暗がりで。誰にも省みられず、にだ。
全てのものに、最も輝く瞬間がある。全てのものはそのため存在する。
そんなわかったようなわからんような、真理に至ったムである。
そっか、だから整理整頓が苦手でもいいんだ(違)
とっちらかった部屋を自己肯定するムであった。
とりあえず、旧プリンタさまは、一生捨てられそうにない。