【私は】Rソックスの奇跡!【非国民】

その昔,西鉄ライオンズという,大層強いチームが日本は九州にあったそうな。
うちの伯父は九州の出で,会う度に「西鉄は凄かった」「西鉄は強かった」「西鉄は伝説を作った」
と呪文のように繰り返していた。そして私に一冊の本をくれた。「プロ野球三国志」という本だ。
三年連続日本シリーズで巨人を粉砕した,西鉄の伝説がその本には詰まっていた。夢中で読んだ。
クライマックスの三連敗四連勝のくだりでは,本の中ながら一球一打にハラハラしたものだった。
高倉・豊田・中西・大下・関口・河野・仰木・和田・稲尾。ベストオーダーは今だにそらで言える。
活字の中で躍る選手達は,陳腐な表現だがまさに「野武士」の風格をぷんぷん匂わせていた。
彼らは,とてつもなくカッコ良く,私には思えたのだった。50年も昔のそのチームこそ,私にとって
野球の原風景なのかもしれない。しかしそれは活字の中だけのものでしかなかった。伝説は伝説だった。
「三連敗四連勝」と言われるものは,その後の日本野球では86年西武,89年巨人が達成している。
しかしそれらは私にとっては「三連勝四連敗」でしかなかった。洗練された都会的なチーム,
或は常に日の光の当たったチームがそれをやったところで,「伝説」とはならない。
「ドラマ」にはダークな前フリと,個性溢れたキャストが不可欠である。工藤や中畑は眩しすぎた。
しかし,求めていた瞬間がついに,ついに訪れた。それは地球の反対側の,異国のチームであったが。
ボストン・レッドソックス。2004年のヤンキースとの激闘。それはいちいち私の「原風景」と重なった。
そのいちいちをここで述べるのも野暮なので,ただひとつ。去年は全員「丸刈り」にしたから負けた。
今年は全員髪が伸び放題だったのが勝因にちがいない。デイモン,ラミレス,かっこよかったぜ。
負けていたらただの「金八」と「おばさんパーマ」やからなあ(笑) とりあえず,山ひとつ越えた。
呪いの歴史を断つのは,新しい歴史しかないだろう。伝説に変わるのは,新しい伝説である。
デイモン・ベルホーン・ラミレス・オルティズ・バリテックニクソン・Kミラー・Bミラー
・カブレーラ・シリング。これからはこのオーダーが忘れられなくなる筈である。
しかしどうなんかなあ。。。 ここから負けるのがまたレッドソックスとも言えそうだし。。。
喜びと不安と。合い半ば。
松井ファンの日本国民には本当に悪いのですが。私はレッドソックス国民なのです。悪しからず。